週末のイベントまで一週間を切った昨夜、麒麟は一直線の大急ぎで帰宅いたしました。会場へと宅急便で本を送り出さねばならず、しかも集荷の車が家に来るまで、あと少ししかない！（慌）

　予定よりもずっと早く到着してしまったお兄さんをドアの外に待たせ、大慌てで梱包＆送り状の記入をしたのが敗因だったのでしょうか。
　「お待たせいたしまして…」とお詫びしながら荷物を送り出した１時間後、致命的なミスをしてしまったことに突然気づいて血の気が引きました。
　……スペース番号の記入、間違えちゃった。

　送り状・箱に張った紙ともに、記入したのは「あれで届けば奇跡だね」としか思えない支離滅裂な番号。
　いったいどこの虚海に飛ばすつもりなんだ、わたしは…！　と呻きながら受話器を引っつかみ、集荷のお兄さんに電話したところ、すでに集配所に到着してしまったとのこと。
　記入違いを報告すると、「こちらで訂正しておく」と言って下さったのですが、たくさんの荷物が集まる集配所では、万が一ということも考えられ、当日の会場であの箱と無事に巡り会える…という確証にはならない。
　ああ、もう、急いでいたとはいえ、どうしてこんな間違いをしちゃったんだろう…！

　と頭をかきむしった挙句、麒麟はその場に正座して、栗の渋皮煮を作ることにしました。

　……栗の渋皮煮。
　それは、外側の固い鬼皮を、渋皮を傷つけないように慎重に剥き、渋抜きのために重曹を加えて何度も煮こぼし、それから楊枝を使ってひとつひとつの筋や綿を丁寧に除き、さらに何度か煮こぼして、砂糖を加えて完成する…という、気が遠くなるほど手間のかかる一品です。
　致命的なミスを犯してしまったわが身に、セルフハリセンを超える何かを…と考えたとき、これ以上の厳罰はどうしても思いつきませんでした。

　かくて日付変更線をはるかに越えた頃、栗の渋皮煮はきっちり完成いたしました。
　鬼皮を剥き続けたおかげで手が痛く、屈み込んで筋を取ったせいで腰も痛い。罰としてもばっちりです。
　唯一の問題点は、麒麟は甘党ではない、という事実なのでして、一夜明けた現在、山のような甘い栗を前に、いささか呆然としております。

　……愛するマドモアゼル方。甘いものは、お好きですか？
　

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　とこのように、会場への本の到着がいささか危ぶまれる以上、万が一に備えて、同じ分量の本を手で持っていくことも考えておりまする。
　あの重い箱を、玄関に運ぶだけでも一苦労だったことを思い出すと、無条件でおめめが遠くなる秋の夜なのでした…。