『王様博覧会２』
オンリー・イベントに参加いたしました。


―― Part Three ――

　


　そうしてイベントを無事終えた後、麒麟はお二方を蓬莱のわが堂室にお招きいたしました。浅草橋からはＪＲでほぼ一本、宴の後の宴と参りましょう！
　冬の陽射しがさし込む南の窓際。差し入れて頂いたお菓子を堪能ししつつ、珈琲片手におしゃべりはもはやノン・ストップでございます。
　いまだ知らぬことの多い二次創作＆イベントの世界。お二方が教えて下さるさまざまな事柄に、麒麟の知識は一日で数十倍の蓄積を見た、と申し上げても過言ではございません。
　笑いの絶えない楽しいおしゃべりの合間に、うひょー！と目を瞠ったり、ほうほう…と深く納得したり。そうこうする内に、話は自然と次回参加予定のイベントに及びました。
　初参加のComic City 東京が約６０００サークル。では夏のコミックマーケットとは、いかほどの規模なりや？
　「見当もつかないわー。だって夏コミって三日間あるのよ♪」とヨウ香さま。
　　　……はい？
　「あまりの人出に、ＪＲが始発を一時間早めるくらいですからね」とＫちゃん。
　　　……なんですと？！
　思わず絶句した麒麟に、お二方は声を揃えて仰いました。
　「だって全国からも海外からもお客さまが来るし、つまり夏コミって世界的祭典なのよ！」

　　！！！（←もう言葉も出ない）

　へなへなと獣形に戻ってしまった麒麟を眺め、Ｋちゃんはいたわるように呟きました。
　「だからわたし、天山の雑記を読むたびに思うんです。あーあ、最初は何にも知らなかった人が、こうしてだんだんディープに成長していくんだなって」

　…（よろよろと起き上がりつつ）…いや、ご案じめさるな。Ｋちゃん。
　ダイビングにしろ辺境放浪にしろ、趣味の世界を突き詰めれば、ディープに至るのはいずこも同じ。勅命とあらば、世界的祭典にも潔く参加いたしましょう。
　しかし、そういうことなら……　そういうことなら……

　さっそく新刊の準備を始めなあきまへんがな！（←真性の阿呆）

　『自由、夜』の装丁がビザンツ様式、『恋文』がアール・ヌーヴォー風、では次回はＸＸ美術か！　
　収録作品はＸＸを○○にして、あれとこれを組み合わせて、ならば編集にも凝らなくては……　
　いや、その前に表紙の色は何にしよう……　タイトル文字と飾りのインクは……

　　……以下、ハリセンにより強制終了。
　

　


　夜を迎えてもおしゃべりは一向に尽きません。取り寄せたお寿司を食べながら、話題は広くさまざまな事柄に及びました。
　あまりの楽しさに、「泊まっていけばいいのにー」と引き止める麒麟とヨウ香さまを宥めつつ、明日は仕事のＫちゃんは９時半頃に帰宅なさったのでした…。
　Ｋちゃん、改めまして本当にありがとう！　無駄のないてきぱきとした仕事ぶり、ポイントを抑えたあざやかな切り盛りのおかげで、会場でもすべてを順調に終えることができました。会うたびに楽しいおしゃべりが弾む時間も、すでにイベント参加の大きな楽しみのひとつになっています。
　次回こそは、お泊りの準備万端で遊びに来てねー♪　（←さりげなく夏の予約を入れてみたり（笑））

　さて。ヨウ香さまは今夜、麒麟宅にお泊りになられます。
　１０時を少し過ぎた頃、眠そうになられたヨウ香さまをお布団にご案内申し上げ、麒麟は愛機ハンキョに向かいました。イベント直前までこなしていた蓬莱オフィスの仕事も、今夜中に終わりそうです。
　すこやかに休まれるヨウ香さまのご様子を微笑ましく眺めながら、『イベントはどうだったね？』とよこした愚妹のメールには、『マドモアゼル方に囲まれてハッピー・マックスだったね！』と返事を投げ、仕事にもどうやら目途がついた 真夜中。おもむろに愛機ハンキョ脇のファックスが鳴りました。
　どれどれ……おお、画師・日さまからの青鳥！といそいそ受け取った数秒後。

　………麒麟は文字通り突っ伏しました。

　

　

　骨の髄まで痺れる愛の鞭。
　　　……そうですか……いや、なるほど……よく分かりました、日さま。

　これはつまり……
　　　　貴女さまは『恋文』の挿画打ち合わせのために東京へいらして下さり、
　　　　蓬莱のわが堂室で複数形の夜を過ごされた以上、
　　　　己が麒麟とはもう引き返せない絆で結ばれてしまった。

　……と、マドモアゼル方にばらしてしまえと。
　つまりはそういうことでございますね？　（注：　解釈に一部フィクションを含む）

　そして日さまの名誉のために申し添えますと、この青鳥には「ゆっくり休んでちょうだいね♪」という優しいメッセージもまた、しかと付け加えられていたのでございました。（にっこり）
　


◇          ◇          ◇




　翌朝はお布団にもぐったまま、何と一時間も（笑）ヨウ香さまとのおしゃべりを楽しんだ後、のびのびと起き上がって朝食でございます。…あれやこれやと、ここでも尽きせぬおしゃべり。
　そうして目一杯ご一緒の時間を楽しんだ後、羽田空港に向かわれるヨウ香さまを、２時過ぎに駅まで送って参りました。
　…ここで正直に申し上げますと、改札でお別れする際、ヨウ香さまに再会のお約束ハグをさし上げたいと願いつつ、麒麟はどうしてもそれを実行することができませんでした。
　楽しい一夜をご一緒した後朝の別れ。つまり麒麟は……
　……照れちゃっていたのでございます。（←ハリセン）

　改めまして、ヨウ香さま。再びご一緒に参加することができて、本当に楽しいイベントでした…！　
　夏にはまたお逢いできるのですね。お話した諸々の楽しい計画をひとつずつ実行しながら、夏が来るのを心から楽しみにしております♪　それまでは日々、モニター上にて逢瀬申し上げまする…！

　

　

◆　結びに代えて　◆
　

　早いもので、サイトを開設してもうすぐ二年になろうとしています。
　今思い出してもまったくの勢いでしかなかったあの冬の早朝を思い出すと、二年後の現在にはこんなにも多くの方々からご縁を頂き、モニター越しで、あるいはリアルでお目にかかることができようとは、本当に想像もしていなかった…と思わずため息がこぼれます。
　やはり予想外のできごとだった本の製作に始まり、こうしてイベントにも参加するようになった今、何事もそうであるように、サイト運営もまた、ひとりだけでは決して続けることのできないものだったと痛感いたします。

　イベント参加をご一緒に、と昨年６月に仰って下さったヨウ香さま。幾つものコラボレーションを経て合同誌が生まれ、今回は合同サークルも誕生したご縁の豊かな広がりに、改めまして心からお礼を申し上げます。そしてこれからもご一緒に、いろいろなことを楽しく進めて参りましょうねー♪
　２度のイベント参加を大きく助けてくれたＫちゃん。深い深い感謝を込めて、やっぱり貴女を「能吏」とお呼びしたい…。助っ人であるから、という理由を越えて、またお逢いして楽しい時間をご一緒できることを、心から楽しみにしています。

　日々当サイトをご訪問下さり、ひっそりと慎ましやかに、あるいは青鳥やサロンを通じてご縁を結んで下さるすべてのマドモアゼル方へ。そして今回のイベントに足をお運び下さった芥瑚方に、もう一度心からの感謝をお贈りしたく存じます。
　おひとりおひとりが異なる輝きを持つ宝石のような方々は、麒麟が電子の虚海で得た最大の宝重です。

　そしてオンリー・イベントという大きな場を主催して下さった方々、当日の会場で万事を手際よく取り仕切って下さったスタッフの方々。開催までには、文字通り言葉に尽くせぬ労力を注がれたことだろう…と思いますと、ひたすら感謝申し上げたい気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
　

　最後に、こちらをご覧のすべてのマドモアゼル方。
　次回のイベントや何かの催し物の折に、初めて、あるいは再びお逢いできる日を、今から楽しみにお待ちしております。
　そして何より日々サイトを通してお目にかかれることが、サイト開設以来、少しも変わらぬ大きな喜びであると申し上げ、謹んで結びのご挨拶に代えさせて頂きますね。


　感謝と喜びを込めて
　天山慶路・暁子　拝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2006年1月26日

　

　

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