Q1: 画家はデッサンで腕を磨き、アスリートは基礎練習で肉体を作る。小説を書くために、何かの練習や
勉強をしていますか?
うんにゃ、何一つ。相変わらず他の小説は読みませんし、周囲を注意深く観察することもない
ですし、関連資料を読み漁ることもありません。怠惰でごめんなさいよ。
Q2: 時系列についての質問です。
たとえば『恋文』の中で、陽子が「治水にはもう少し工夫が必要」だと言っていた南部州において、
『自由、夜』ではすでに運河の工事が具体化しており、さらに『花鳥使』ではその運河が完成して
いる…というように、「書いた時期も内容も別々の作品の中で、同じものが時間を変えて姿を現す」
というサプライズが時々見られます。
これは最初から計算、あるいは設定して書いているのですか?
いいや、何一つ。そんな難しいこと、姉にできるはずがなかろうよ。
ただ、そういうものは最初から丸ごとの形で頭の中にあって、必要に応じて勝手に出てくる…
という感じなので、後になってぶれたり辻褄が合わなくなったり、ということはないです。
たとえば『恋文』を書いたときすでに、梧桐宮の俯瞰図は頭の中にありました。あのときは必要が
ないので書かなかったのですが、4年半後、偶然機会に恵まれて、『花鳥使』で改めて書くことに
なったという次第です。
運河についても、後ほど再び登場することになると思うのですが、何だかごっつい長編になりそう
なので、時間を見つけながら少しずつ書き進めて行こうと思っています。
…しかしおまえさん、ほんとに読んでるんだね…。
Q3: 全体的に見て、主上よりも台輔の心情を深く描いている作品の方が多いように思うのですが、
それは何故でしょう?
「折々の陽子の心情は、すでに原作において十二分に描写されているから」ではないでしょうか。
故に原作から敷衍した煩悩は、原作では描写されていない台輔の内面に向かう…という訳でござ
います。もしこれが逆だったら、きっと煩悩も逆方面に発達してたと思うよ。
それにしても意外に真面目な質問ばかりで、実は少々面食らってます。びっくり。
------ご心配なく。真面目な質問はここまでです------
Q4: 姉が小説を書き始めたと知ったときには、アンダーグラウンドでアブノーマルな内容だと思って
いたので、実は非常に意外でした。で、比較的そっち方面と思われる『回帰熱』は、「…これ、
地に戻って爆走しようとする筆を無理やり抑えてんじゃね?」という印象を受けたのですが、
ぶっちゃけ自分にウソをつきましたか?
…………。
…………。
…………変態とは理性を重んじる生き物なのだよ、マイ・ディア。
「ほんとはここまで見えているんだけど、文章にしなくてもストーリーは成り立つし、何よりこの話
をR16レベルに収めたい」というなけなしの理性的判断により、ぼかした部分というのは確かに
あります。
そしてもし本にするならば、省略した部分も(良心が許す限り)加筆して、他の書き下ろしと一緒に
一冊にする予定です。…ただしその場合、1冊丸ごと18禁になってしまうのですが。
Q5: 「二次創作とは萌えの発露である」というのが一般通念だと思うのですが、どうも姉の態度とその
作品を見ていると、「このシーン or 台詞が書きたかった!ここでこんな風にしたら萌え萌えー!」
という願望やパッションが感じられません。萌えの心で二次創作、してますか?
OK、複合的な質問なので個別に整理しましょう。
1) まず「一般通念」ですが、限られた個人的見聞からしても、そうなんじゃないかと思います。
2) 次に、「このシーン or 台詞が書きたい!」と思って書いたことはありません。というかやろうと
思ってもできない。丸ごと降ってくる映像を文章で解読するだけの、つまりイタコは脚本家
にはなれんっちゅー話です。(憮然)
3) 上記から判断するに、「萌えの心で二次創作」はできていない…ということになります(涙)。
しかしながら、だったら何故書くのかと問われれば、そこに煩悩があるからだと答えたい。
もしかしたら「萌え」と「煩悩」はちょっと違うのかも知れません。
ただ、十二国記に出逢わなければ、小説など一生書かなかったことだけは確かです。
Q6: 本来、台輔のような男性はタイプではないようにお見受けするのですが?
おかげで守備範囲が広がりました。…じゃなくて。
台輔単体ではなく、あの主上と組み合わさったときの絶妙なケミカル・リアクションというか、何か
が過剰でありながら同時に欠如しているあやうさというか、つまりセットになって初めて、我がスト
ライク・ゾーンを射抜く力を発揮するという訳です。そういう二人が喧嘩をすると、皮肉の応酬も妙
に官能的に聞こえる…とかそういうことですね。
だがしかし、「外見は物堅く生真面目で仏頂面なのに、一皮剥いたらかなりの変態だった」と
すれば、好感度ぶっちぎりで急上昇です。
…いえ、何も拙宅の台輔がそうだという訳ではなく。
Q7: ずばり、台輔にヒゲは生えていますか?
ししし、神獣にそんなもの生えてないもん! そんなイメージ・ダウン、いやー!
……なーんて答えるとでも思ったのかね、ベイビー?
煩悩シアターではあんな場面やこんな場面が容赦なく上映されて目のやり場に困ることすら
あるっていうのに、ヒゲごときの自然現象、何を今さら笑止千万なのでございます。
(注: 文章自体は慎ましいソフト・フォーカスですが、煩悩映像はデジタルハイビジョンです)
------何だかヤバくなってきたので、路線を戻しましょう------
Q8: 原作が途中で止まっているという切ない状態が何年も続いています。正直、ネタが尽きませんか?
あはは(笑)! 質量保存の法則からいっても、そりゃ充分にあり得ることです。
確かに以前はそんな心配もしていたのですが、今ではもう、「そうなったらゆっくりお休みして、ま
た新しいものを書きたいと思うまで見聞を広めてこよう」と落ち着いて構えています。原作『書簡』
の玉葉みたいにね。
Q9: 他ジャンルに移動して二次創作をする予定は? オリジナルはどうでしょう?
間違いなく断言できる。両者ともに0%です。
Q10: 最後は質問ではありません。まあ黙って聞いて下さい。
初めて言いますが、『自由、夜』を読んでぼろ泣きしました。小説書き始めて一ヶ月でこれ書いた
って何の冗談ですか。ってかなんでそれまで何も書かずにいられたんですか。
以上、一読者としての感想でした。これからも楽しみにしています。回答ありがとうございました。
…………最後に反則技を使うんじゃありません。
こちらこそ、どうもありがとう。すごく嬉しいです(照)。
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