前回の雑記から心ならずも間が開いてしまったのは、ワールドカップの終了とともに燃え尽きたからでは決してなく（ちょっと記憶にないくらい充実したゲームが目白押しの大会でした！）、そうではなく……

　　　　　　　　　　　いやもう筆舌に尽くしがたく暑いから。


　なのでございます。近年こんな過酷な夏があっただろうか！　いやない！！

　お元気ですか、息をしていらっしゃいますか、愛するマドモアゼル方。当方もう人型を保つので精一杯、うかつにPCのスイッチなど入れたら熱暴走で爆発するんじゃないかと心配で、しかしながら通販のお申し込みを続いて頂いたことで正気に返り、こうして虚海を渡るエネルギーを得た次第です。ありがとうございます（深々と伏礼）。
　幽体離脱しないうちにちっちゃくお知らせをさし上げますと、既刊の『ドゥエンデ』が残部やや少となっております。こちらも本当にありがとうございます（再び深々と伏礼）。

　出張が入っていた仕事も週末には落ち着いて、改めてご挨拶に上がることができると思いますので、クーラーで涼みながらお待ち頂けると幸いです。
　天気予報で「生存にかかわるほど危険な暑さ」とくり返されるほどのこの暑さ。マドモアゼル方もどうかくれぐれもご自愛くださいますように…！



　そして、大水害に見舞われた西日本の方々に、心からお見舞いを申し上げます。直接何かできないときには募金、まずは募金を、というのを過去の例から学び、Yahoo募金にゆだねてきました。少しでも早く生活の基盤を取り戻されますよう、本当に心から願っております。

　

　決勝トーナメントの日本vsベルギー戦をリアルタイムで見届けて、目をこすりながらの連日のご挨拶でございます。
　いい試合だった。生きているうちに日本のベスト８進出が見られると確信できる素晴らしいゲームだった。本当にいいものを見せてもらった…！

　「どうしてサッカーが好きなの？」と先日お尋ねを頂きまして、柄にもなくちょっと真面目に考えてみました。
　しばしば『代理戦争』とも言われるように、サッカー、特にワールドカップでは、競技への情熱がネガティブなものをあぶりだしてしまうことが頻繁に起こります。人種差別的な発言であったり、スポーツに持ち込むべきではない政治的なジェスチャーであったり、そうでなくても故意のラフプレーや卑怯なファウルが見受けられたり、選手・観客ともに人間の持つ醜く汚い部分が避けがたく表に出てしまうことがある。安易に自己を集団に同化させ、フラストレーションやナショナリズムとすり替えようとすることの危うさは、フーリガンと呼ばれる人々が体現している通りです。
　けれど同時に、人間の最も美しい部分が奇跡のように立ち現れる競技でもあるのですね。信じがたい精度のパス回しやすべてを突破する真空のようなゴール、それらを支えるチームワークと不屈の闘志、所属する国やチームを越えた友情やフェアプレーが、勝敗以上に心に残ることもしばしばです。
　熱狂と駆け引き、まっすぐなものと屈折したもの、醜いものと美しいもの、泥とダイヤモンドがいっしょくたに混ざったカオスのような魅力がサッカーにはあって、その上でよりよいものの方をより強く信じさせてくれる、それがこの競技に惹かれる理由だと感じています。

　「んじゃなんでヤジなんか飛ばすの？？」という当然のご下問に、恥ずかしながら例を挙げさせて頂きますとですね……
　・　それが独自のプレースタイルだと分かっていても、地蔵のように動かないメッシに焦れて、「なんでそこで取りに行かない？！　同い年の長友の運動量を見習ってくれ…！」と転げ回って懇願してみたり、
　・　ほんのかすった程度の接触なのに、ダンプカーに衝突されたみたいにひっくり返ってわめきながらファウルを要求するネイマールに、「ええい見苦しい！　退場だ！　レッドカードをくれてやる！！」とわめき返してみたり、
　・　ゴールキーパーなのに敵陣に乗り込んで攻撃に参加しようとするノイアーに、「そうこなくっちゃ！　最高だ！　最高にパンクでロックでクレイジーだよ！！」と大喜びでダンスを捧げてみたり……

　……うん。アレですね。
　こうやって書き記してみると、完全に頭のおかしい人ですね。


【まことにどうでもよろしい本日の余談】
　どうやら覗く程度にはワールドカップを観ているらしい妹から、
　　「ねえねえ、サッカーってイケメンがたくさんいるんだね！」
　とわくわくしたメールが届きました。
　なるほど、そういう見方もあったか…と感心しつつ、
　　「そうだよ！　ガタイも実力もばっちりのイケメンがどっさりだよ！」
　と返しておきました。
　彼女のお気に入りは、日本代表の長谷部キャプテンだそうです。
　…意外に堅実だな…。

　

　史上最速で梅雨が明け、途端に殴られるような暑さに見舞われた東京より、息も絶え絶えのご挨拶を申し上げます。 息をしていらっしゃいますか、愛するマドモアゼル方。もう夏の間は日が暮れて涼しくなってから起き出す吸血鬼になりたい…。


　さて、昨年の放浪で訪れたジョージアで、「ハチャプリ」なる神の供物を堪能したとお話したことをご記憶でしょうか。平たいパンの中にチーズが入った熱々のおやきのようなもので、いやもうほんとにおいしかったんだよ…としみじみ述懐したところ、友人の一人が「レシピを見つけたよ」とファイルを送ってくれ、もう一人の友人が「作ってみようよ」と提案してくれ、「じゃあ拙宅のキッチンを提供するよ！」と鼻息荒く申し出たのがわたくしめ。さらに友人二人を招いて、週末のハチャプリ・パーティと相成りました。
　お茶とおしゃべりで午後を過ごし、涼しくなるのを待っておもむろに仕込みに入り、「吸血鬼志望がそんなもん食ってていいのか」というツッコミをよそに、突然ですがここで飯テロタイムのお時間です。
　

黄金のハチャプリ。ウズベキスタンで買ってきたお皿に乗せて。

　一口食べてのけぞりました。なにこれなにこれ…！！！
　外はカリカリ中はとろとろ、口いっぱいにチーズとヨーグルトの風味が広がり、なんだこのおいしさは…　焼きたてってこんなにおいしかったのか…！！！
　正直言ってジョージアで食べたものよりおいしかった旨を告げ、キッチンで陣頭指揮を執ってくれた友人に「ついては結婚してほしい」と真剣にプロポーズしたところ、「いいよ♪」とあっさりOKをもらい、しかしながら２時間後には「やっぱ信用できない」とあえなく破局を迎えました。同席の友人たちはハチャプリを堪能しながら遠慮なく笑うばかり。つかの間の幸せでした。


　映像を届けるだけ届けてトンズラすると、グルメ芥瑚の方々から全力で祟られる恐れがありますので、ここに謹んでレシピをご紹介いたします。どうぞ！

【ハチャプリの作り方（直径２０ｃｍ/２枚分）】
１）　薄力粉・強力粉 各１５０ｇと、ベーキングパウダー大匙１を混ぜ合わせる。
２）　そこにプレーンヨーグルト２３０ｇを入れてよくこね、３０分ほど休ませる。
３）　生地を二つに分けて丸く伸ばす。中央に溶けるチーズ５０ｇ（２枚分計１００ｇの半量）を乗せて、周囲からひだを寄せるようにして包み込む。それを直径２０ｃｍくらいに伸ばす。
４）　フライパンにやや多めの油を入れ、弱めの中火でじっくりと両面を焼く。

　この、「生地をヨーグルトだけでこねる」というところにおいしさの秘密があるように思われます。現地で食べたハチャプリはチーズを筆頭として、中の具がひき肉とたまねぎを炒めたものだったり、豆をペースト状にしたものだったり、刻んだゆで卵とじゃがいもをディルで和えたものだったりと大変バラエティ豊かでしたので、是非お好みのものをお試し下さい♪
　…こ、これで祟りはまぬがれる…多分…。