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ミディ・ピレネー地方の首都・トゥールーズから北西に７０キロほど、ガロンヌ河のほとりにあるモワサックという小さな街に、美しい回廊を持つ修道院があります。その教会の扉口を入ろうとして、ふと左の柱を見た瞬間、この異様な彫刻を目にして息を呑むことになります。
影のように長く長く引き延ばされた、どこか不吉な雰囲気を纏う頭身のバランス。身体をゆるく捻って脚を交差させた、この地方独特の様式によるポーズ。何より不気味なのは、この世のどこにも向けられていないかのような、その虚ろなまなざしです。
エレミアは旧約聖書に登場する預言者の一人で、「悲劇の預言者」と呼ばれるように、神の怒りと忠告を預言として伝え続けたために、故郷の人々に疎まれ、憎まれた挙句、牢獄に繋がれて無残な死を遂げたといわれています。
「ああ、わたしは災いだ。母よ、何故わたしを産んだのか。誰もがわたしを呪う」
とエレミア書に綴られた深い絶望が、ぽっかりと空いた二つの洞のような目の奥に湛えられていて、肉体より先に心が死んでしまった人を見るような、どんなに振り払おうとしても背後にひっそりと寄り添って離れない影を見るような恐怖に襲われて、思わず半泣きになります。
お化け屋敷じゃないんだから！
なんだって入り口にこんなもの持ってくるかな！！（泣）
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