◆ サプライズの舞台裏 ◆
―寄稿：ちょこさま＆かりのさま―

　「幹事のおふたりからも、集いのレポートいただきたいの」
　と暁子様におねだりされたのはいつのことだったか…。
　しかし、過去からもわかるように、暁子様のレポートは詳細を究め、付け足すところなんかありゃしません。
　………………。
　……………。
　………ん？　いや、ちょっと待てよ？
　あったじゃないか、付け足すところ。

　　　　　　　　　　　　　　　　暁子様もご存知ない時間のお話が！

　というわけで、レポにもあった、ちっちゃなサプライズの舞台裏をお届けします。

　そう。今回の集いのキーワードは「６周年」。
　つまり、「天山慶路」の建国記念日。お誕生日です。

　とはいうものの、幹事ふたり。迫り来る当日に準備で手一杯になり、かなり直前の日程まで、「お誕生日」を集いに組み込むことが出来ないでいました。
　かりの作「ぶっ飛びのブツ／Ⓒ暁子様」（前頁参照）も、ぜひとも仕上げたい。
　ふと気づけば当日まであとわずか。準備段階では常に宛先に入っていた「暁子様」のアドレスをそっと外し、以下のようなやりとりを、２人は慌てつつもこっそりと、交わしはじめたのです。


　　（以下、メールより抜粋）
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　　　かりの　→　ちょこ
　　　　　１月３０日って６周年当日ですよね？
　　　　　今更ですがお誕生日祝い、サプライズケーキか何か、しかけられないかと思ったのですが……。
　　　　　タイミングとかケーキを切り分ける際の手間ひまとか考えて、実現可能かなあ？
　　　　　ちょこ様のご意見、いかがでしょうか。

　　　ちょこ　→　かりの
　　　　　そうそう。私も考えていたところでした。誕生日といえばケーキかお花。でもパウンドケーキに
　　　　　ろうそくでは、色気が足りませんよね。（どうやら「色気」が判断基準の多くを占めるちょこ）
　　　　　暁子様に一口ずつ「あーん」していただくのも一興かと。（いったい何の会かしら？）

　　　かりの　→　ちょこ
　　　　　その手があったか！＞一口ずつあーん
　　　　　記念ですから、量は必要ないですものね。一口で十分。
　　　　　お花も素敵ですが、夜の部に持ち歩くことを考えますと、消えモノの方が適していると思われ。

　　　ちょこ　→　かりの
　　　　　……大変。問い合わせしたところ、２０人近くが食べれるサイズの“お誕生日ケーキ”って、お高い。
　　　　　いっそのこと手作りも考えたのですが、いわゆる“お誕生日ケーキ”ではなくって、細長い四角形の
　　　　　ケーキ２本でどうでしょう？

　　＜ちょっと解説＞
　　　　ここで、「あーん」してもらう案はどこへ？と思われた貴女。
　　　　そう、たとえお指でクリームをすくって差し出されたとしても、動じずにぱくりといける口の幹事ふたり
　　　　ではございますが、果たして、“はじめまして”のマドモワゼルが、そんな…そんなプレイにたえられる
　　　　であろうか？　という老婆心（良心ともいう）が、突如生まれたのでありました。
　　　　（そして宴がすすむにつれ、そんな心配はいらなかったと知る）

　　　かりの　→　ちょこ
　　　　　おお！　ちょこ様の手作りケーキ！
　　　　　大変魅惑な響きの言葉ですが、それは改めて機会を設けることとして（え？）、今回は「おめでとう」
　　　　　の気持ちが伝われば十分ですよ。
　　　　　お骨折りいただき、ありがとうちょこ様。暁子様の感謝のキスは、貴方様のものですとも！
　　　　　（なぜかキスを遠慮するかりの）

　　　ちょこ　→　かりの
　　　　　ふふ。それでは予約しますね。１つにはろうそく。１つにはメッセージプレートをのせてもらうお話を
　　　　　してあります。文面は「あきこさんおめでとう」で。
　　　　　他に焼き菓子もいくつか見繕っていますし、後は取りにいくタイミングですね。

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　このようなやりとりを交わし、手配を済ませて迎えた当日。
　できれば全員がそろったところでケーキ登場！といきたい。でも、うまいタイミングで休憩を入れ、セッティングすることができるだろうか…。
　そう考えていた幹事ふたりを助けたのは、過去の集いで面識をいただいていた関西芥瑚の美琴さまでした。
　当日、率先して「自己紹介コーナー」を仕切ってくださる姿にほれぼれしながら、1回目の休憩で「実はサプライズケーキを用意していて、セットするタイミングを見計らっている」という事情を説明したところ…。
　「わかった。このペースでいったら、ちょうど１５時くらいに私の番がくるでしょうから、休憩を挟むようにリードしますね」との力強いお言葉が。
　実際にはお話ペースがちょっとだけずれたのですが、そこはアイコンタクト一発。素晴らしいタイミングで休憩をはさんでくださいました。

　さてさて、思い思いに休憩をとられる皆様をかいくぐって、足早にケーキ屋さんへと向かう私たち。
　お店では、ケーキにのったプレートの文字を確認します。「あきこさん　おめでとう」。うん、OK。
　会計と並行して、別のお店へと電話をかけ、コーヒーの出前を頼みます。口頭でお届け場所を説明することの難しさを感じながらも 、何とか注文は完了し、よし。これで準備は整った！

　しかしながら、意気揚々と引き上げてきた私たちの前に、妙に迫力のある二人組の姿が。
　それは、建物内禁煙を守り外で喫煙タイムを過ごす、暁子様ご本人と関西芥瑚 ・ひなた様だったのです！
　完全に想定外の出来事に、たじろぐ私たち。何とか冷静さを保とうとしますが、手にはサプライズケーキの入ったお菓子屋さんの紙袋が！

　暁子様からは遠い方の手に、そっと紙袋を持ち替えるかりの。さりげなーく、その斜め前方に位置をとって、少しでも視界を遮ろうとするちょこ。そこは、あうんの呼吸のチームプレイです（＞プレイ？）。
　にこやかに「寒くならないうちに戻ってきてね〜」などと声をかけつつ、建物に入って交わしたのは…。

　　「びっくりした〜。大丈夫？　バレてないかなあ？」
　　「いや、ここでまだテーブルに並んでいない“パウンドケーキ”を取りに行ったものと思ってくれれば！」

　興奮しつつも、コート・荷物置き場としていたお隣、「会議室２」でろうそくセッティング。お店でもらった長いろうそくにプラスして、かわいい「６」のろうそくも立てました。あとは、火をつけるタイミングを計るのみ。
　幸い、「会議室２」の前を通らないと、メイン会場の「会議室３」には入れない構造です。
　耳をすませて、暁子様、ひなた様が戻られる気配を感じ……　さあ、点火！

　…後は、参加の皆様はご存知の通り。
　ケーキを捧げ持つちょこ＆“ハッピーバースデー”を歌うかりの。
　皆様の拍手の中、びっくり＆照れくさそうにろうそくの火を吹き消す暁子様のお顔を見て、心中ハイタッチを交わした幹事ふたり。

　そして、ケーキは予定通り「切り分けて」皆様のお腹のなかへ。
　だって、嘘つきな皆様（前頁参照）の間では、途切れることなく愛が語り綴られ、

　　　　　　　　　　「あーん」なんて提案する余裕は、まったくなかったから。

　なのでした…。