今年最後の酒宴の賑わいを背後に聞きつつ、やはり今年最後の更新をお届けいたします。
　ごきげん麗しゅう、愛するマドモアゼル方。つつがなく年の瀬をお迎えでいらっしゃいますか？

　日付が変わる少し手前にお届けするのは、『樹の組曲』・第三曲「南天冬夜」。
　分割払いの精進潔斎を経てお届けする冬の章は、偶然にも蓬莱の季節と一致するものになりました。
　何かとせわしない年の暮れ、どうぞささやかな息抜きをお届けできますように…。


　さて、この年末は麒麟も帰省の予定。新刊原稿の進行具合に興味津々の蓬莱の両親＋ 「目に入れたらちょっと痛い」程度には可愛い妹＋無愛想な三毛猫妖魔が、手ぐすね引いて待ち構えている模様でございます。
　オンラインのＰＣも準備したと云われれば、後顧の憂いはないと申しますか、もうやけっぱちと申しますか、先日ようやくすべての書き直し作業が終わった （！）原稿に、心ゆくまで手を入れて参りたいと存じます。（書き直して本当によかった…！）
　かくて、年末年始の虚海的ライフラインもばっちり確保。後ほどサロンへもつつがなくご挨拶をさし上げに参りますね。

　マドモアゼル方。今年も一年、本当にひとかたならぬ温かいご縁を頂きました。心から楽しんで三年目を過ごすことができたのは、モニターの向こうにいらっしゃる皆さま、おひとりおひとりがいらしたからです。
　どうぞすべての皆さまが、穏やかな年明けをお迎えになられますように。そして来たる新年も豊かで実り多いものでありますように…と願いながら、深い感謝とともに今年最後の更新をお届けいたします。

　愛を込めて
　天山慶路・暁子　拝
　

　先日、いつも製本をお願いしている大阪の印刷会社の方と、来年の新刊について電話でお話ししました。
　（冬コミの大仕事がひと段落して、ほっとなさっているようでした（笑））
　今回は表紙の一部に写真を使うので、その入稿方法の確認だったのです。それから表紙用紙の候補を幾つかお願いしたり、見返し紙の種類を聞いたりと、煩悩的に大変有意義な打ち合わせでございました。
　最初に印刷をお願いしたときは、製本用語の大半が分からず、右を向いても左を向いても「？」状態だったことを考えますと、いやはや、煩悩とは曲がりなりにも成長するものでございます。
　……ずず。（とお茶をひと口）

　そこでマドモアゼル方。本日は皆さま方を、煩悩シアター舞台裏＠製本支部へとお招きすべく虚海を渡って参りました。
　「今現在、舞台裏ではこんな風に進行中です」というご報告を兼ねて、まずは第一幕のお届けを…。

　

　――精進潔斎とは、焦らしプレイと見切ったり。

　ごきげん麗しゅう、愛するマドモアゼル方。諸方面が飛躍的に忙しなさを増す今週末、上記の如く分割払いの精進潔斎を抱えて御前に参上いたしました。
　新刊の原稿準備に勤しむ煩悩シアターのため、小説更新は来週に。……この場合、焦らしプレイの対象は他ならぬ麒麟自身だというところに、救いようのない煩悩の深さを感じます。
　……むっつり。
　
　本日はその代わり、ちっちゃなクリスマス・ギフトをお届けいたします。
　マドモアゼル方。昨年１２月の同じ頃、最も愛する彫刻としてご紹介した、ロダンの『大聖堂』をご記憶でいらっしゃいましょうか？
　実は先日の放浪で、一年ぶりにこの彫刻と再会して参りました。一年経った同じ風景をお届けできるのも、深いご縁の証。あれやこれやと煩悩を広げつつ、帰ったらマドモアゼル方にお話ししよう…！と思いながらこの彫刻の前で過ごした数時間は、本当に幸福なひとときでした。
　そして今日初めてこの写真をご覧になったマドモアゼル方。あの頃にはまだ頂いていなかったご縁が、今は確かにつながっていることを思いますと、こうして同じ風景をお届けできるのは大きな喜びです。
　トップ頁の『season's greetings/二つの大聖堂』から、蓋を開けてお受け取り下さいませ。
　季節のご挨拶に代えてお贈りする、ささやかな虚海からのギフトです。

　今週末はクリスマスにより三連休。新刊準備は本文推敲からデザイン作業へ、その後には書き下ろし作品のめども立て、連載の次章もお色直しをしつつ、でもでも次回オークション数値も設定したい…！
　と煩悩に溢れかえるこの状態では、救世主の生誕を祝うどころか、サンタクロースからハリセンギフトを喰らってしまいそうなのですが（涙）、周囲の人たちとの絆を暖め直すこの時期、麒麟もゆっくりと休暇を楽しみたく存じます。

　来週には、今年最後の小説更新となる『樹の組曲』／第三曲・「南天冬夜」をお届けいたします。
　今年も残りわずか。愛するマドモアゼル方、どうぞ良い週末をお過ごし下さいますように…。ＸＸＸ。



　追記：　今週にかけて青鳥をお送り下さったマドモアゼル方。
　　　　　後ほどお返事の一部を、サロンへとお届けいたします。週末、お時間のあるときにカウンターまで
　　　　　お立ち寄りの上、愛を込めたお返事青鳥をお受け取り下さいましねー♪
　

　このところ毎晩のように、「ぽん！」と一升瓶の栓を抜く音を聞いているような気がいたします。
　とかく酒席にご縁のある年の暮れ、マドモアゼル方の肝臓はおすこやかでいらっしゃいますか？
　……はい。今日は一生懸命お酒を飲んだので、珍しくちょっとだけ酔っ払えたような気がして嬉しいです。そしてこんなときにご挨拶をすると、うっかり手が滑って妙なことを口走りそうで、どきどきしています（照）。
　ごきげん麗しゅう、スウィートにして愛するマドモアゼル方！


　さて。アクセス解析のようなツールがないので定かではないのですが、このところちょっぴりカウンターが微熱を帯びているような気がいたします。……はて、何ゆえなりや？
　そこで以下のように仮説を立ててみました。

　仮説・１）　いずこかでアニメーションの再放映が行われた or 十二国記の特集が組まれた。
　仮説・２）　冬の祭典用の原稿を終えられた方々が、再び虚海へご帰還あそばされた。（←今ではこの辺り
　　　　　　　　の事情もばっちり分かりますとも！）
　仮説・２）　芥瑚方の愛が高じてついに常世に温室効果がもたらされ、虚海の水温が上昇している。

　……さりながら、事実とは必ずしも一つである必要はないのであって、大切なのはこうしてご縁を頂いたことそのものではありますまいか。
　という次第でして、マドモアゼル方！　唐突ですが、ご挨拶を申し上げてもよろしゅうございましょうか？
　ここ数ヶ月、存じ上げぬうちに最初のご縁を頂いた方々。謹んで、初めましてのご挨拶をお送りいたします。シンプルでアバウトが身上の当サイト、どうぞお好きなときにお好きな場所でおくつろぎ下さいませ。お気が向かれた際は、お気軽にサロンＢＢＳや青鳥メールをお使い下さいますと、麒麟も大変嬉しゅうございます（照）。
　何よりこうして頂いたご縁が、これからも長いお付き合いとなりますように…。

　そして、「いつもこんにちは♪」のスウィートな芥瑚方。本日は少々アルコールの香りがする麒麟の愛を、御手をのばしてお受け取り下さいませ。いえ、どうかもう、何も仰らず…！（←やや危なくなって参りました）

　……と、ここまで申し上げたところで、手元の酒瓶が底をつきました。（←帰宅後も飲んでおります）
　折りからのＢＧＭはＲ＆Ｂ。台輔の機嫌もお日柄も、まったくもって煩悩日和にて、麒麟はこれより煩悩シアターに回ってひと仕事して参りたく存じます。
　すべてのマドモアゼル方。冷え込みが厳しく、風邪も流行っている昨今、どうかご自愛下さいますように。
　そしてまたすぐにお目にかかれることを、心から楽しみにしておりますね♪


　……でも、マルボロをお供に日本酒を摂取すると、時折妙に花の香りがするのはどうしてなのでしょう？



　追伸：　年末の郵便事情を鑑み、本日から通販は冬休みとなります。再開予定は１月上旬でございます。
　　　　　これまでにお申し込みを下さったマドモアゼル方。確認次第、即日発送しておりますので、こちらは
　　　　　どうぞご安心を！
　

　本日の蓬莱オフィスも、頭の回線がちょっと吹っ飛ぶくらいの忙しさでした。…吹っ飛びついでに、固く誓った精進潔斎まで吹っ飛ぶらしく、今週末も小説更新とともにボンソワールなのでございます。
　ごきげん麗しゅう、マドモアゼル方！（←ちょっとやけっぱち）

　本日お届けするのは、『樹の組曲』・第二曲、「樫の木」。前回の第一曲に続き、他の作品につながるちっちゃな横糸があれこれあるような気がするのですが、そこはそれ。
　書き手も後からご指摘頂いて、初めてつながりに気づくほどシンプルかつアバウトな煩悩シアターですので、お気づきになられた際ににっこりして頂けますと、麒麟もとっても嬉しゅうございます（照）。
　今週もどうぞ、ゆっくりお楽しみ頂けますように…。


　さて。精進潔斎を唱えつつも、当社比倍増の勢いで虚海を越え続ける麒麟を見かねたのか、先日思わぬ方面から思わぬ青鳥が舞い込んで参りました。
　「年末帰省の際には、予備のＰＣを用意しておく。必要な場合には、校正その他を引き受けるのもやぶさかではないので、こちらで安心して原稿作成に励むように。父より」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（フリーズしたまま３分経過）

　……お気遣い痛み入ります、父上。
　痛み入り過ぎて、本当にどこかが痛くなりそうでした。　
　そして校正云々に関して一言お許し頂けますなら、娘は大変やぶさかな心持ちです。


　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇


　（無理やり体勢を立て直し）　…いえ、マドモアゼル方。
　いやしくも煩悩と生まれた麒麟の身。虚海を越えて皆さま方との逢瀬にうつつを抜かしつつ、返す手で新刊準備もまたおさおさ怠るものではございません。
　先日、収録作品の第二回推敲が終了いたしました。これまでになく推敲箇所が多かったため、ここまで時間がかかったのですが、後は冬休みを使ってデザイン＆表紙作成を進め、腰を据えて書き下ろし作品にも着手する予定でございます。
　再来年にはオンリー・イベントの開催も決まった昨今。いつなんどきマドモアゼル方の煩悩が花開き、本の制作を思い立たれぬとも限りません。
　ご参考になる…かどうかははなはだ心もとないのですが（笑）、小説本作成の舞台裏なども、後ほど機会があればちらりとお届けいたしたく存じます。

　それでは、すべてのマドモアゼル方。
　どうぞゆったりとよい週末をお過ごし下さいますように…。


　ＰＳ：　青鳥を下さった芥瑚方。この週末に、サロンへとお返事青鳥をお届けいたします。
　　　　　どうぞご自分宛の一羽をさっくりと捕獲なさって下さいましね♪
　

　年の暮れに嬉しいニュースのお届けを。
　２００８年２月１７日（日）、小野不由美作品オンリー・イベントが開催されるのでございます…！
　主催は絳英紫極さま、開催地は東京。ニュースを知ったヨウ香さまとすばやく連絡を取り合い、『景陽双花』として参加を検討中です。リンク頁トップにもご案内を出して参りましたので、ご覧下さいましね。

　オンリー・イベントという名称を初めて耳にした際には、「…むむ。会員制クラブのパーティ？」などとすっとんきょうなブツしか思い浮かばなかった麒麟ですが、今ではその存在意義とありがたみがよーく分かります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　分かりますとも…！（←握りこぶし）

　今から１年以上後の開催予定、その頃わが身は一体どこで何をしているのか、そもそも天山慶路は無事に虚海上で存在し得ているのか？　といった諸々（笑）はあれど……
　おお、マドモアゼル方！　無条件に素晴らしく嬉しいお知らせではございませんか！！



　となれば、新刊の準備にもいっそう熱が入ろうというもの。本格的に身を引き締めて、精進潔斎に入る算段もつけねばなりません。（←まったくその通りだ、と天の声が）
　そうであれば、『短篇集／異形ノ恋』を多めに印刷しておけばよかったかな…と悔やむのは、実は先日、この本の原稿データを誤って全消去してしまい（涙）、どう転んでも再販が不可能となったためなのでした…。
　
　この嬉しいお知らせを胸に、さらなる新刊予定（？）などを立てるべく、カレンダーと楽しくにらめっこせねば。
　愛するマドモアゼル方。例によって再び金曜夜にお逢いできることを、心から楽しみにしておりますね♪
　

　週末は、遠方に住む伯母上とそのご友人が、「こちらに用事があって立ち寄ったの。一緒にお茶でもどう？」とお誘いをくれましたので、ひょこひょこ出かけて参りました。
　この伯母上、息子二人で娘がいないためか、幼い頃からとてもわたくしめを可愛がってくれたお方です。テーブルを囲んでなごやかに交わされていた……はずの会話は、いつしか雲行き怪しい昔話の方向へ。
　「この子はねえ、今でこそこんな風だけど、ちっちゃい頃はあなた、もう本当に……」
　とにこやかに伯母上が語り始めるに及んで、心拍数が妙に乱れるのを感じた麒麟は、手元の珈琲を急遽ギネスに切り替えました。
　……何を隠そう、幼少時の麒麟は、そりゃーもう絵に描いたようなシャイなベイビーだったのでございます。（うわ、悶絶するほど恥ずかしい告白だ…！）

　名前を聞かれただけで真っ赤になって俯き、ママンの膝の後ろに隠れていたあの頃。ちょっとでも叱られようものなら、何も言わずに下を向いてぽろぽろ泣き始めるという、およそ考え得る限りの内気なリアクションを返す、いたいけな幼児でございました。
　……だというのに、どこをどう押せばこんなふてぶてしい成獣に育つのか。
　と今では蓬莱の母も嘆くほど、見事な野生馬となって御前に参じております。

　蓬莱でも現役の女怪を勤めていらっしゃる、多くの芥瑚な皆さま。
　「うちの可愛い麒麟は、どうも内気で…」とご心配なさるのは、いささかお早いかも知れませぬ。
　今は小さな泰麒に思われても、成長した暁には立派な饕餮…ではなく、活発な延麒におなりあそばすかも知れず、ゆめゆめご油断は禁物なのでございます。
　と僭越ながら虚海の片隅より、ひっそり奏上申し上げる次第なのでした。…深々と伏礼。


　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇


　そして、小さなお知らせを。
　年末のせわしない郵便事情を考え、通販の休止期間を設けることにいたしました。
　今年の天山書房・通販業務は、来週月曜日、１２月１８日が仕事納めとなります。お正月休みにちょっと読書でも…とお思いの際には、どうぞ週末までを目安にご利用下さいませ。
　もちろん現在お申し込み頂いている分につきましては、滞りなく順次発送しておりますので、どうぞご安心下さいましね。

　もうひとつは、お知らせというほど大げさなものではないのですが（笑）、トップ写真についてでございます。
　先日、お問い合わせを頂いて初めて気がついたのですが、ここ数ヶ月ほど、更新の際に「ご自由なお持ち帰りをどうぞ♪」という例の文言を入れておりませんでした…！（あわわ）
　最近になってご縁を頂いたマドモアゼル方。毎月変わる天山のトップ写真は、管理人の撮影につき、お持ち帰りはいつでもご自由でございます。お気に召した際には、「画像上で右クリック→名前をつけて保存」にて、さっくりお持ち下さいますように…。
　小さな画像を携帯の待ち受け画面にお使い下さる芥瑚あり、大き目の画像を壁紙代わりになさる芥瑚あり。あるいは麒麟には想像もつかない神秘かつ崇高な目的にご使用下さっても、まったくＯＫでございます。
　現在のトップ写真は、今月後半に次のものへと切り替わります。どうぞそれまで引き続き、ダマスカスの聖母像をご鑑賞下さいませ。

　それではマドモアゼル方。胃腸風邪が各地で猛威を奮う師走、どうぞくれぐれもご自愛下さいますように。
　そしてまたすぐにお目にかかれることを、とても楽しみにしておりますね♪
　

　一晩留守にして帰宅したところ、青鳥をたくさん頂いていてとても嬉しく、思わず表玄関からもご挨拶をさし上げに参りました。
　……てへ（照）。（嗚呼、そしてますます遠のく我が精進潔斎よ…）

　どこまで感謝をお伝えできているのか、実はいつもひそかに気を揉んでいるのですが、更新したものにこうしてご感想を頂くのは、毎回本当に心から嬉しく、頂いた青鳥を折に触れて何度も読み返しています。
　疲れちゃったな…と思うときや、うまく言葉が見つからないときなどには、これまで頂いた青鳥保管庫や投票企画のレポートに頭を突っ込んで、エネルギー・チャージをしている麒麟の姿を、愛機ハンキョが大変頻繁に目撃しているほどです（笑）。

　リクエスト作品の場合には、ご落札→ご注文→更新までの過程を、いわばリアルタイムで皆さまにもご覧頂いている臨場感と、それから緊張感もあり、無事書き上げてお届けする喜びもひとしおだったりいたします。
　ですので、「落札したらこういうのを注文しようと思ってたの」、「ご落札主にありがとうってお伝えしてね♪」とお聞きすると、芥瑚方同士のご縁を取り持つ仲人になったようにも感じられて、すごく嬉しいのでした（照）。

　……そうか。オークションの喜びは、仲人の喜びでもあるのか……。（←あーもしもし？）

　青鳥を下さった芥瑚方。サロンＢＢＳへと、愛を山盛り携えたお返事青鳥をお届けしております。
　どうぞお立ち寄りの上、ご自分宛の一羽をお手にとって下さいますように…。

　これから麒麟は買い忘れていたマルボロをさくっと買いに行き、映画を一本観た後、再び煩悩シアター裏へ戻ろうと思います。
　随分と冷え込む土曜の夜ですが、どうぞマドモアゼル方も温かく心地よくお過ごし下さいね♪
　

　……たった一回のインターバルの後で、小説を更新できることが、何故こんなにも嬉しい……（涙）。
　
　「確か精進潔斎って言うたの、覚えてはる？」と自らに向かい、心を込めて問いかけたい師走の夜。
　おすこやかに週末をお迎えになられましたか、マドモアゼル方？
　本日お届けするのは、５０万打リクエスト作品・『樹の組曲』、第一曲 "Honey-Suckle Rose" でございます。
　寒さが厳しくなる週末、まずはゆっくりと温かくなさってお楽しみ頂けますように…。

　……しかし、あれでございます。
　蓬莱オフィスも急速にせわしなさを増し、新刊の準備にも本腰を入れたくてたまらず、なのに他にも書きたいものがある…！という現状において最も求められるのが、かの宝重・鴻溶鏡ではありますまいか。
　個々の能力が多少削がれるのは承知の上で、自分を分割して各所に配置し、並列進行することができればどんなにいいだろう！と思うのですが、そこはこらえ性のない麒麟のことです。
　互いの作業が佳境に入ったと見るや、そっちに手を出したくなってぎゃーぎゃー喧嘩を始めることが確実である以上、やはり奇蹟に頼ってはいけないのである、としみじみ思われるのでした。
　……だというのに、何故こんなにも楽しいのか……。（←ハリセン、あいにく品切れ中の模様です）


　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇


　水曜に残部のご案内をさし上げた『書簡集／恋文』、おかげさまを持ちまして、あれからまもなく完売の運びとなりました。
　遠く海を渡っていった数冊あり、ご家族でお読み頂いた（！）という数冊あり、あるいは当初のコンセプトに沿って電車通勤のお供となった（！！）数冊あり、本当に予想もできなかったほど幸福な書簡集になりました。
　楽しんで下さったとお聞きするほど嬉しいことはなく、では次の新刊にも力を尽くそう…！と素直に力が湧いてきます。
　これまで里親となって下さったすべての方々、本当にありがとうございました。改めまして、深い感謝をお送りいたします。そして年明けの春には、綺麗に仕上がった次の本を無事お目にかけられますように…。


　そして最後に。
　１２月に入り、まもなく冬休みという学生方の中には、年明けに試験を迎えられる方々もおいでと存じます。試験終了まで虚海を離れる方々もいらっしゃるだろうと、少し早めのご挨拶をさし上げたいと思いました。
　あと数ヶ月、どうかくれぐれも身体を大事になさって、無事に山場を越えられますように。モニターのこちら側から、素晴らしい春をお迎えになられるよう、わたしも心からお祈りしています。
　

　ちょうど昨年の１２月に手元にやってきた ipod が、一年の保証期間終了を待たずして、先月中旬に唐突な操作不能に陥りました。リセットもリカバリーもリインストールも、すべての努力は無益でした。
　小さな身体いっぱいに音楽を抱え込み、煩悩シアターのＢＧＭを一手に引き受ける、愛しい使令。
　　これなくしては、もう一行だって書けない…！（涙）
　と、煩悩的危機に喘ぎつつサポートセンターに連絡したところ、あっさり引き取りが決定。どうやら修理も不可能だったらしく、先日手元に戻ってきたのはまっさらな新品の ipod でした。

　……でも、違うのです。
　新しいのが欲しかったんじゃなくて、壊れてしまった原因が知りたかったのです。
　つまり、「当社の製品は煩悩的使用には向いておりません」とか、「煩悩シアターＢＧＭに使用すると多大な負荷がかかります」とか、そういった的確な指示（？）を求めていたのです。
　そうでないと、新しい使令も同じ憂き目に遭わせてしまうではないか。

　と嘆きつつ速攻でインストールを完了した煩悩シアターは、本日も元気に稼働中でございます。（←とりあえず使用法を変えるつもりはないらしい…と）

　しかし、でございます、マドモアゼル方。
　麒麟が思いますに、煩悩とは、実は電脳関連に多大な負荷をかけるエネルギーなのではないか…と。
　振り返ってみると、サイト開設と同時に購入した初代ＰＣ・愛機ハンキョは、平均寿命をかなり下回る二年で禅譲いたしました。それ以前に私用していた骨董品クラスのＰＣは、ウィンドウズ９６（！）を搭載して、今も立派に作動可能です。
　思えば同時期に購入したマウスも、早々に昇天したような気がいたします。
　そして今回の ipod の不調なのですが、それ以前に使っていたポータブルＣＤプレイヤーは、でっかい身体で現在もくるくる快調に回ります。
　単に物使いが荒いのでは？　という仮説も成り立つのですが、８年前に購入したブーツに丁重な手入れを続けて現在も愛用していることを考えますと、それも腑に落ちず、最後に残る要因として、やはり煩悩の存在が無視できないという結論に至ります。

　……ここは一発、冢宰府に特別予算を申請、「煩悩が電脳機器にもたらす負荷について」の研究分析をば、広く虚海を対象に行うべきではあるまいか。

　と、つれづれに思われる虚海の岸辺。
　マドモアゼル方周辺の電脳機器は、本日もつつがなく快調でいらっしゃいますか？
　麒麟は再び煩悩シアター裏に戻り、金曜夜の更新のため、第一章のお色直しに励んで参ります。しばしのおいとまの後、また週末にゆっくりとお目にかかれることを、心から楽しみにしておりますね♪

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇　小さなお知らせ　◇

　師走を迎え、通販中の『書簡集／恋文』が残りわずかとなりました。現在の残部は４冊でございます。
　これについては今後の再販はなし、と内なる蒼猿と意見が一致しておりますので、ご興味がおありの方、どうぞ引き続きご利用下さいますように…。
　

　……それは、週末の早朝のことでした。
　夜通し上映した煩悩シアターにもそろそろ幕を下ろし、さて、太陽と入れ替わりに眠るか…と愛機ハンキョを閉じようとしたとき。
　常に早起き鳥であるわが妹から、勢いよく青鳥が飛び込んで参りました。

　「今カタールのドーハで開催されている何ちゃらいうスポーツ大会の開会式をご覧になって？！　聖火点火のときカタールの王子が白いアラブの民族衣装で颯爽と現れ、全力で愛馬を駆って段上の点火台まで一気に駆け上がったのよ！　っくう〜！！　彼こそ真の王子さまなり！！！」　（原文ママ）

　「最近雑記で妹さんの姿を見かけないけれど、お元気かしら？」
　と、青鳥などを通じてお気遣い下さったマドモアゼル方。
　……かたじけなさと肩身の狭さで、麒麟は涙が止まりません。

　愚妹はいっそ無駄なほど元気、かつ「王子萌えー♪」の真っ最中と思われます…！（←突っ伏し状態）


　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇


　今年で最も厳しい朝の冷え込みを記録したという月曜日。お元気でいらっしゃいますか、マドモアゼル方？
　本日は何よりもまず、リクエストのご報告から参りたく存じます。

　５０万打をご落札下さったのは、ひとみさま。
　ご指定下さった内容は、「名もない周辺の人々から見た主従の姿を」。
　そしてタイトルは、『樹の組曲』。

　……放浪を終えたぴちぴちの煩悩は、理性を軽く置き去りにして暴走しました。
　キーボードを打つのももどかしく骨組みを仕上げた後は、その勢いで第一章の本文へ。当初は前後篇だったはずが全四章と分かった頃にはもう開き直り、「精進潔斎」と申し上げた舌の根も乾かぬうちに禁を破って、Novel頁に予告を載せずにはいられませんでした…！（←再び突っ伏し）

　このこらえ性のなさには、さすがに自分でも危なっかしいものを感じるのですが、やっぱりリクエストを頂いて何かを書き上げる喜びは、１８回くり返しても色褪せません。
　今回のご落札主・ひとみさまは、この夏に新しくご縁を頂いた蓬莱芥瑚でもいらっしゃいます。オークションを通して重ねて頂いたご縁と、一人では思いつかなかった新しい視点からのご注文に、改めまして深くお礼を申し上げます。 書き上げからお届けまで、少しずつ楽しみながら進めて参りますね♪
　そして実は参戦していたのよ、とお知らせ下さったマドモアゼル方。……本当に嬉しかったです。
　こうした企画はご参加下さる方があって初めて成り立つもの。そうでなくなった暁には、あるいはもう書けないと思ったときには潔く閉幕を…と自戒しながら、いつも次回の数値を設定していることを思うと、やっぱり何度でもお礼を申し上げずにはいられません。
　ありがとうございます。本当に、心から。


　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇


　来年のことを言うと鬼が笑う、と申しますが、根っからの企画体質にとっては、それも心地よい子守唄に過ぎません。（←もいっかい開き直り）
　先だっての雑記で申し上げた「リアル芥瑚の集い・Part�V」（仮称）を、ご記憶でいらっしゃいましょうか。
　正式なお知らせに先駆けた小さな予告を、後ほどサロンに提出の予定でございます。
　すでに参戦のご意志を胸に秘めた芥瑚方。…来年の手帳のチェックを、どうかずずいと。
　そして「興味はあるけど、そんな、やっぱりとても…！」と今、モニターの前で顔を覆われたマドモアゼル方。どうか深呼吸をひとつなさり、お気が向かれた際にはひっそりその旨お知らせ下さいませ。
　大丈夫、時間はまだまだたっぷりございます。それまでに腕によりをかけ、そんな貴女さまをジゴロが口説き落としてご覧に入れます…！（←久々の特大ハリセン）

　そして先週末に青鳥を下さったマドモアゼル方。同じく後ほどサロンにお返事青鳥をお届けして参りますので、どうかご自分宛ての一羽をお手に取ってご覧下さいますよう…。

　止まる様子のないこの煩悩を抱え、水曜辺りにもう一度、雑記にてお目にかかりたく存じます。
　どうかマドモアゼル方、温かくなさって師走をお過ごし下さいますように。ＸＸＸ。
　

　……師走とは、とかく酒席にご縁のある月です。
　友人のお誘いを受け、んじゃ軽く一杯…と立ち寄ったつもりが本腰に。帰り際、「まだ日付も変わってないし」と引き止めてくれる周囲に向かって、「んー、でも今日は更新があるから！」と爽やかに言い放って我に返り、とっさに激しく踊ってごまかしました。

　……口は災いのエイリアン・マザーです。

　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇

　１２月最初の金曜を麗しくお迎えでいらっしゃいますか、愛するマドモアゼル方？
　本日はまず、新しいトップ写真のお届けを。
　今月前半の風景は、シリア・ダマスカスの旧市街、石畳の路で見かけたマリア像です。

　ダマスカスの南側に広がる旧市街。城砦をくぐり、スークと呼ばれる賑やかな市場を抜けると、細い石畳の路が迷路のように広がっています。歩いている内に方向感覚が薄れていくのが楽しくて、この辺りをふらふらと散策していた夜、温かいオレンジ色の光が漏れている一角を目にしました。
　近づいてみると、通りの石壁をくり抜いて造られた祭壇の中、花に包まれて小さな聖母像が立っていました。

　中東、というイメージからすると少し意外なのですが、ダマスカスは旧約聖書とも縁が深く、街のあちこちにその名残りを見つけることができます。最初は迫害側でありながら、後にキリストの弟子となったパウロが歩いたといわれる道、サロメに愛された洗礼者ヨハネの首が納められているモスク、旧約聖書では人類最初の殺人とされるカインとアベルの物語の舞台になったカシオス山も、ダマスカス郊外に広がっています。
　旧市街にはイスラム教徒区に隣り合ってキリスト教徒区があり、上記のマリア像に出逢ったのは、多分その一角だったのだろうと後になって気づきました。
　これまでの旅の中でも特にシリアが記憶に残っているのは、一つの土地に凝縮された歴史の多層性を、旅が終わった後でも思い出させてくれる場所だったからではないかと思うのです。
　……たとえ、どんなにおいしい夕食のお供にもアルコールはご法度という、非常に切ないお国柄であったとしても。

　ネオンもない薄暗い通りにあって、あの祭壇の灯が本当に温かく感じられたことを思い出すと、今年ももうすぐ終わりというこの時期に、この風景をマドモアゼル方にお送りしたいと思いました。
　トップ写真をクリックいたしますと、少し大きな画像もご覧頂けます。
　愛するマドモアゼル方。虚海からお届けする少し早めのクリスマス・ギフト、その最初のひとつとして、この一枚をお納め下さいませ。
　日頃から頂いている温かい交流が、まるでこの灯りのように感じられることが、実は何度もあるのです。
　
　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　　　◇

　そして、「…ん？小説の更新は？」と思われたマドモアゼル方。昨年の今頃を覚えておいででしょうか。
　……師走とは、新刊準備という名の精進潔斎期でもあるのでございます……！

　思えば昨年の暮れも、『書簡集／恋文』の製作準備のため、しばし涙を呑んで小説をお休みいたしました。
　だというのに、雑記の更新頻度は史上最高（当社比）であった…というのは、煩悩を離れては生きられぬ麒麟心の為せるわざなのでして、今年もあんなに切ない思いをしなくてはならないのかと思うと……
　虚弱体質な理性が、メーターを吹っ切って暴走してしまいそうです。

　ですので今年は、精進潔斎を分割することにいたしました。
　まず今回は小説更新をお休みし、次回新刊用の書き下ろし作品に手を入れて参ります。こちらはすでにタイトルと骨組みが決まり、あとは精進潔斎の間にどれくらい形にできるか…という一点のみ。
　それと並列進行して、先日ご落札頂いた５０万打リクエスト小説をば。こちらもすでに骨組みが完成し、あとは書き進めていくだけという段階でございます。
　ご注文頂いた内容とタイトル、その他詳細につきましては、次回の雑記で改めてお届けいたしますね♪

　という次第でして、愛するマドモアゼル方。
　虚海の奥座敷に蟄居謹慎のはずが、何故か雑記の更新頻度が上昇し、おまけに長さもぶっちぎり…というミステリアスな１２月。たびたびお目にかかることを楽しみに、まずは今週末、上記二つの煩悩事項にいそいそ着手して参りたく存じます。（←もう楽しくて七転八倒）
　どうかマドモアゼル方も温かくなさって、穏やかな師走の週末をお迎え下さいますように…。