よし、今年の仕事はこれで終了！　心おきなく休暇に突入だ！
　というのが、俗にいう仕事納めでございます。そして確かに昨日、蓬莱オフィスも仕事納めとなりました。新刊の書き下ろし初稿も無事に形になりました。あとはゆっくり休暇で心身を休めるだけなはずです。
　だというのに……

　　　新刊の書き下ろし、もう一個増やしちゃおっかな♪　とか考えているのはどういうことだ。
　
　と我と我が身に向かって全力で問いかけたい今年もあと数日、皆さまにおかれましてはいかがお過ごしであらせられましょうや。
　だってもう全ページ数の半分近くが書き下ろしだよ！　旧稿にだって改訂を入れてるし！　大体挿画の都合だってあるっていうのにダメだよ勝手にそんなこと決めちゃ！
　と頭をぶんぶん振りながら日さま＠挿画担当に煩悩を止めてくれないかメールをお送りしたところ、
　「もういっこ書き下ろしちゃえばいいじゃない♪　そして私に読ませればいいじゃない♪」
　という違う方向に燃料満載の青鳥が帰って参りました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　正月休暇の使い道、これにて決定。

　

　……愛するマドモアゼル方。
　仕事納めどころか今年最後の阿呆納めをしてしまった感満載で、年末のご挨拶を申し上げます。（深々）
　不肖わたくしめ、今まで「更新を終了するときは、『書くものがなくなったとき』だろう」と考えていたのですが、もしかしたらそれは、『自らの煩悩の勢いについていけなくなったとき』なのかも知れません。

　それでも、愛するマドモアゼル方。モニターの向こうに皆さまひとりひとりがいらして、こうしてご縁を頂いているということの幸福を、こんなにも実感した年はなかったように思います。
　どうか皆さまとご家族、そして周囲の方々が、心穏やかなお正月をお迎えになられますように。
　そしてすべての方々にとって、来たる新しい年が少しでも良いものとなるよう、心から願ってやみません。

　年が明けて、また元気にお目にかかれることを心から楽しみにしておりますね。
　心から愛するすべてのマドモアゼル方、どうか良いお年を！＠ＸＸＸ
　　
　

　人であれ物であれ、何かに「出逢う」ということは、つまるところ「可能性」だと思うのです。
　「その対象を好きになる可能性」ですね。
　そこからさまざまな方向に進んでいくベクトルも、好きだと思った対象に心を開くことから始まる訳で、何かを好きだと感じられることは、「幸福」の定義に最も近い。そして好きになった相手には、その幸いを心から願わずにはいられない。

　……何が言いたいのかと申しますと、好きなものを通して出逢った皆さまを好きにならずにいることは非常に難しく、であるからには、季節にことよせてその気持ちを伝えずにいられようか、ということなのでして、従いましては正面玄関からカードをお届けいたしますので、どうか受け取って下さい＠愛を込めて。

　……ということなのでございます（照）。


　正面玄関に掲げたのは、フランス・シャルトル大聖堂のステンドグラス。
　「シャルトル・ブルー」と呼ばれる独特の深い青、そして精緻な文様が時間を忘れるほどに美しい、どれだけ眺めていても飽きない大好きな風景のひとつです。
　一昨年の放浪の最終日、その朝に思い立ったらいてもたってもいられなくなり、ルーブル美術館でニケの写真＠「デカローグ」の表紙を撮った後、電車に飛び乗って出かけてきました。

　辛いことが多かった今年、いつにもまして皆さまのことを思い出し、折々に頂く青鳥を通して本当にたくさんのものを頂きました。来たる新しい一年が、皆さまとご家族、周囲の方々にとってより良いものになりますよう、虚海の隅っこから力いっぱい願っています。
　すべての愛するマドモアゼル方。貴女の麒麟のこの愛が届くならば、今週末はどうかとびっきりよい休日をお過ごし下さいますように。
　ＸＸＸ。

　

　年末恒例行事の１つに、「ＸＸ・オブ・ザ・イヤー」というものがございます。
　各方面の中で今年のベスト！というものを選び出して激賞するこの慣例に倣って、この一年の読書を振り返るならば、個人的には間違いなく「ブック・オブ・ザ・イヤー」と呼べる小説がありました。
　橋本治の『窯変源氏物語』です。

　「いづれの御時にか…」という出だしで始まる説明不要の超古典、紫式部の源氏物語。
　一人の男性と数多の女性たちが織り成すこの物語が、いったん橋本治の手にかかると、光源氏があざやかな一人称で語る「わたし」のストーリーとなり、「いつのことだったか、もう忘れてしまった…」という、まさに痺れるような冒頭の一文へと変化します。
　今まで漠然と抱いていた「優雅な宮廷絵巻と恋物語」というイメージが、この作品によって見事に覆されました。権力の中枢に限りなく近い位置にありながら、臣籍に下された皇子という屈折した立場に置かれた一人の男性。その視線を通して眺めると、当時の社会形態や価値観、政治事情といったものがくっきりと浮かび上がってくるのです。

　そしてまた、この光源氏という人物の描き方が素晴らしいのですね。才能と美貌に恵まれながら、孤独で、そして文句のつけようがないくらいに傲慢です。
　「恨まなければならないほど、この身に縋りつくだけのいちいちを愛してはいない」
　などという台詞を平然と口にしつつ、「愛されることが怖ろしい」「愛するということが分からない」という驚くほど現代的な愛に関する苦悩を抱えながら、つまりは複数の女性とのラブアフェアに身をやつす訳ですね。
　何より怖ろしかったのは、「こういう人間はろくなことにならないんだよなー」と読み進めているうちに、何故か個人的に痛いところをピンポイントで抉られているような、自分でもあまり認めたくない部分が妙な共鳴を起こすというか、変な薄笑いがふつふつと込み上げてくるのを止められない…という不可解な感覚でした。
　こういう人間としてしか生きられないとしたら、自分自身を孤独に追い込む愚かさを十分に理解しながらも、おそらくまったく同じことをしてしまうだろうと、そう認めざるを得ないのです。

　重く華麗で煌びやかな現代日本語の美しさといい、力業ともいえる骨太でスタイリッシュな構成といい、登場人物たちにあまねく向けられる容赦なく客観的な視線といい、小説の力ってこういうものなのか…！と改めて開眼させられるような大作でした。
　上記のように、少々の癖と多量の毒がありますので、万人受けというわけにはいかないか…とも思うのですが、愛するマドモアゼル方、ご興味が湧かれましたらどうぞご一読を。


　　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　◇


　という次第でございまして、心から愛するマドモアゼル方。年末進行の蓬莱オフィスと忘年会の合間を縫って、麒麟もつたないながら引き続き煩悩の文章化に精魂を傾けたく存じます。
　皆さま、どうか今週末もよい休日をお過ごしになられますように…。
　
　……って言っているうちに、日付変更線を越えちゃった！！（焦）



　ＰＳ：　通販について
　既刊の通販は、週明けの１２月１９日（月）夜に終了となります。
　残部が少ないため、次回のイベント後の新刊通販開始時には、おそらく完売になっているかな…という感じですので、ご希望の方がいらっしゃいましたら、お気軽に青鳥をお送り下さいませ。（深々と伏礼）

　

　……もはや何時間眠ったのかも知りたくないくらい、ぶっ通しで眠り続けた一昼夜。
　「それ以上食べたら死ぬから」と制止される勢いで栄養補給を済ませ、シャワーを浴びてすっきりして、一日遅れで虚海を渡って参りました。
　しかしながら、愛するマドモアゼル方。麒麟もただ漫然と惰眠を貪っていたわけではございません。

　　　　　　　　　　　　　　　３つ目の書き下ろし作品＠初稿が仕上がりました。

　こちらはタイトルを「海青唱」（かいせいしょう）と申します。（ね、「しょう」で韻を踏んでいる…（照））
　予定よりもはるかに早いペースで書き上がったぜ！と速攻で名画師にお送りしたところ、
　「いやっほおおおおい！ヽ(゜∀゜ヽ 三 ノ゜∀゜)ノ←読んだ」
　という速達青鳥が返ってきました。

　……何だか報われた気がして嬉しくなる瞬間（照）。


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　さて、愛するマドモアゼル方。
　かくも長き惰眠を貪った後、ぼけーっと鏡を見たらば、目が一重になっておりました。
　そこでふと思い出したのが、「わしゃいつ二重になったんじゃ？」という素朴な疑問。

　今でこそ分かりやすい二重なのですが、わたくしめ、幼少時はこれ以上ないほどの一重でございました。証拠写真もばっちり残っておりますし、確か高校時代もそうだったような記憶がおぼろげにある。
　初めて指摘されたのは、ふらっと立ち寄ったボディショップだった気がします。確かクリスマス限定のアイテムを勧めてきたスタッフのお兄さんに、「いや、一重なので云々」と答えたところ、
　「んまー！ダーリン違うわ！あなたったら二重よ！」
　と突きつけられた鏡を覗いたところ、確かに二重が映っている。あれ？　おかしいな、こちとら生まれながらの一重だったはず…と首をかしげていると、
　「いいこと、自分の顔の造作を把握してないなんて女の子失格よ！美しくなる努力を怠っちゃだめ！」
　とかなんとか懇々と説教され、まんまと限定アイテムを買わされてしまいました。
　……とほほ（涙）。
　
　それでも何だか腑に落ちなかったので、母にも尋ねてみたことがあります。
　「ああそうねえ、ちっちゃい頃は確かにあなた、一重だったわよねえ」
　とにこやかに答えた母に、んじゃいったいいつから二重に…というか、途中で変わることなんてあるのか？と訊いたところ、
　「てっきり人工的にお直しを入れたんだと思ってた。だから触れちゃいけないのかと思ってたわー♪」


　　　　　　　　　　　斜め上にぶっ飛んだ答えをいつもありがとうママン（怒）。


　しかしまあ、生きていれば何かしらの変化が起こるのは、ある意味自然の摂理。ことに煩悩の虚海に生きる身であってみれば、いつなんどきウロコやしっぽが生えてきたとしても、動じず愛でる覚悟を持たねばなりません。
　イベントの拝謁時にマドモアゼル方を怖がらせない範囲であれば、特に気にする必要もないか…とギネスを飲み干す冬の夜なのでした。

　先日は東京でも初雪を見た師走の上旬。愛するマドモアゼル方、どうぞ温かくなさって、今週末もよい休日をお過ごし下さいますように。ＸＸＸ。

　

　ご機嫌麗しゅう、愛するマドモアゼル方。
　――不肖の麒麟、黄海から生還いたしました。

　先週末はサロンに届出をした通り、失礼して煩悩シアターに直行＆黄海の情景と戯れていたのですが、逢瀬断ちをした甲斐あって、新刊用書き下ろしの２作目＠初稿が無事完成しました。
　こちらはタイトルを、『半夏生』（はんげしょう）と申します。

　書き下ろしの１作目が『草原頌』（そうげんしょう）、これで３つ目のタイトルも「しょう」で終わってたら韻を踏んでる…って、いやいやそんな訳ないかー！（照）と確かめてみたらば、
　ほんとに３つ目も「しょう」で終わってることにたった今気づきましたの巻。

　あとは今月半ばくらいまでに３つ目を書き終えて、名画師にお送りするのが当面の目標。それから各話の推敲＠少なくとも３回＋表紙デザイン＋レイアウトにかかって、今回も良い子なスケジュールを目指しております。…万が一事故っても、対応する時間が取れるように。（←過去のトラウマ、いまだ健在）
　３つとも結構な長さがありますので（サイト上で換算すると３−４章分くらい）、新刊の総ページ数の４割ほどが書き下ろしになる予定でございます。
　…計算は苦手なんだけれども何だか多すぎる気がしないでもないの巻。

　
　　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　◇


　さて、愛するマドモアゼル方！
　先月は文化の日にちなんで、虚海における文化の諸相について考察をお届けしましたが、実は３つ目のブツには余談がございました。すなわち、「攻守の問題」番外編。
　
　あれはサイト開設後まもなくのこと。
　姉が二次創作なるものを始めたと知った我が妹、ある日遊びに来てにこにこしながらこう言いました。
　「ねえねえ、『攻め』の反対語ってなーんだ？」
　
　何を藪から棒に。そんなもの決まってる。“守り”だろう。
　「……」
　何？　なんか間違ってる？？
　「んもーまたまたー！　もっと正直になっていいのにー♪」

　いやいや、だから“守り”だと。攻守っていうくらいだから、“守り”でいいんだと思うよ。
　「……まじで？」
　まじも何も、他に反対語なんてないでしょう。
　「……違うでしょう！　ここは『受け』って答えるべきでしょう、この世界に住民届けを出した以上は！！」


　　　　　　　　どこでそんな言葉を覚えてきたんですかおまえって子は（怒）。

　
　……よく聞きなさい妹よ。
　愛とはこれすなわち混沌、清濁併せ呑むカオスの世界。フリーダムかつノーロープな領域で、上だの下だのを固定して何の益があろう。分かち合い奪い合い、民主主義があって専制君主制がある。王道があるから逸脱もある、上に乗りたいときもあれば下に回りたいときもある。それが愛に身を捧げた奴隷たちに唯一保証される自由、つまりは愛における自由思想というものではないのか！

　と力を込めて説教を試みましたところ、
　「いやー！　この変態ー！！」
　とかなんとか罵られて、もーなにがなんだか分かりません的気分になった昼下がりだったのでした。

　……むっつり。

　

◆通販についてのお知らせ◆

　既刊『Decalogue』の通販は、１２月１９日（月）で終了となります。
　残部は来年５月のイベント時に持参しますので、その後に再開する通販ではおそらく取り扱えなくなるかな…といった状況です。
　もしご希望の方がいらっしゃいましたら、上記を目安にどうぞ♪　なのでございます。
　以上、天山書房からのお知らせでございました。深々と伏礼。


　　　　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　◇　　　　　　　　　　　　　　◇


　師走に入って、急に冷え込んで参りました。蓬莱オフィスでも昨日からクリスマスツリーを飾り始め、いよいよ師走！といった雰囲気が。
　愛するマドモアゼル方。節電の中でもどうか温かくなさって、今週末もよい休日をお過ごし下さいますように。この時期に青鳥を頂くと、もしかして寒さで冷えた手でキーボードを打って下さったのだろうか…と、ひときわ胸にぐっと来るものがございます。
　メルシー・ボクゥ。ＸＸＸ。