愛するマドモアゼル方。
　本日１月３０日をもちまして、当サイトは１３周年を迎えることと相成りました。
　昨年の１２周年は、「１２」というジャンル上特別な意味を持つ数字に感慨深いものがございましたが、今年の「１３」というのはまた、何だか仄暗い感じでぞくぞくする…！（喜）
　という阿呆はさておき、ここまでの長い間、心から楽しんでサイト運営を続けてこられたこと、それを可能にして下さったすべての方々に、深くお礼を申し上げたい気持ちでいっぱいです。

　人生の半分以上を留守にしていた蓬莱に帰国してきたのは、サイト開設前年の秋。住んだこともない東京で仕事をすることになり、母国とはいえあれこれの勝手も分からず、スーツケースをひきずって東京駅の八重洲口に降り立った夜、煌びやかな高層ビルを見上げながら、「ここでうまくやってけるのかな…」と途方に暮れるような気持ちになったことを、今でもはっきり覚えています。
　その気持ちの中には、なんとなくニュアンスを掴み切れていないような気がする日本語に対するコンプレックスや、親しい知り合いや友人はできるのかな…といった戸惑いも含まれていました。
　ですが、そのわずか数ヵ月後、ひょんなことから坂道を転がり落ちるようにサイト開設の運びとなり、生まれてこのかた一度たりとも書いたことのなかった小説（！）を書き始めるに及んで、この２つの戸惑いは見事に吹っ飛ぶことになります。
　いまだにあやしい日本語はさておき（笑）、サイトというものを通して、また後に参加するようになったイベントを通して、こんなにもたくさんの方々と出会うことができようとは、本当に夢にも思っていませんでした。それが何より嬉しい。もうこれだけで途方もない幸福に恵まれたのだと、１３周年を迎えた今、心から感じています。

　正面玄関に掲げたのは、サイト開設当時にトップを飾っていた朝焼けの写真。バナーにも同じ風景を切り取って使っています。
　サイトトップのデザインは当時とまるで変わらず、また変える予定もないのは、さまざまな事情で虚海を留守になさっていた方々が久しぶりにお立ち寄り下さったときに、「ああ、前と変わってないんだな」となんとなく安心して頂けるように…と願っているからなのでして、こうやって書いてしまうと非常に照れくさいのですが、生きていればあれこれあるのは当たり前で、それでもご縁というのはその時々に形を変えつつ意外な強さで繋がっていくものなのではないかと、つまりはそういうことなのでございます（照）。

　かくかくしかじかの吉日であるからには、手ぶらでお返しするわけにも参りますまい！
　と思い立ちまして、本日は「Library」ページ内にささやかな感謝のしるしとして、これまで発行したペーパーを収めて参りました。まずは先月お届けした２０１１年のもの、そして２０１３年のペーパー、次回も引き続き新しいものをお届けする予定です。
　新刊準備の精進潔斎も山場を迎えようとしている昨今、こちらでひとときなりとお楽しみ頂ければ、とても幸いです。

　１３年の間には、長いご縁を頂いている方々から最近「初めまして」のご挨拶が叶った方々まで、皆さまにもさまざまな変化がおありだったと思います。それらを経てなお、こうしてモニター越しに今日もお会いできるのは、思う以上に素晴らしい、得がたいことなのだなあ…と、このご挨拶をしたためているたった今もそう 実感しています。

　深い感謝を込めて
　暁子　拝


　

　あのですね、マドモアゼル方。
　驚天動地の出来事があったので、週明けなのですが聞いて下さい。

　金曜日が超デッドライン！　サインの日付は金曜厳守、それを過ぎれば紙くずだ！　
　…という仕事にどうにかめどがついたのと引き換えに、ひどい風邪を引き込んでしまいました。あまりの絶不調に、楽しみにしていた友人たちとの逢瀬も泣く泣く諦めたほどです。
　家でぐったりしていたところにかかったのは、「３０分だけ外出しよう。君に必要なのはラーメンだと思う」との意味不明な言葉。
　へ？　なんでラーメン？？　好きだけどめったに食べないよ、一年に一度あるかないかだよ…とぶーぶー言いつつ、時々行列ができているのを見かけるご近所のラーメン屋さんに行きました。
　幸か不幸か何があっても絶対に食欲が落ちない体質でして、麺は固めのトッピング全部乗せで完食。おいしかったです。で、帰宅してそのままベッドにもぐり込み、次に起きたときには……

　　　　　　　　　　　　　　　風邪は見事に完治しておりました。


　うそ！　なんだこれ！　なんのマジックなんだ？！　
　と仰天しつつ、いくら考えてもどうなってるのか分かりません。刻みネギがよかったの…？　それとも山のような背脂…？　何かいけないものでも入ってたの…？？
　しかしながら治ったことは確かで、こんなに早いなんて薬を服用しても早々あることではなく、いまだ狐につままれたような気分なのですが、皆さまが常にお健やかであることを祈念して、ここにひっそり呟いておこうと思います。

　愛するマドモアゼル方。
　風邪を引かれたときには、場合によってはラーメンが劇的に効くみたいです。（何故か小声）

　

　前回、今年初めての雑記「ＣＰ、その固定について」を上梓した後のこと。なんと妹の友人＆フィギュアスケート観戦の師匠でもあるくだんのＳちゃんから、妹経由でメッセージが届きました。
　「お姉さんがいろいろとフリーダムなのは知ってますが、一般的、特に二次元においてはそうでない傾向があります。固定ＣＰは一神教、すなわちカップリングとは宗教なのです」

　おお…　なんと全宇宙的なこの啓示…！！（愕然）
　そうか、前回のわたしは愛の多様性について論じながら、愛が時に同じくらい固執性を見せることについては考えが及ばなかった…未熟でした。
　愛も宗教と同じように、それを持ち信じる人の自由が保障されねばならない。そして、従来あった愛の概念が拡張され、再定義されつつあるこの現代において我々に求められるのは、自らの愛と等しく他者のそれを尊重すること、つまり「わたしには信じるものがある。しかしそうでない人々を排除するものではない」という意志ではないか。
　固定も流動も含んだ多様性の共存、その両方を愛は循環する。あなたとわたしは違うが、それ故に触れ合うことは常に驚きに満ちている。そしてできることなら知りたい、理解したい。
　新年早々、巨大な天啓を受けて放心しつつ、何だか歓びとも昂揚ともつかないものが湧き上がってくるのを感じて、深い充足のため息をついた煩悩シアターだったのでした。

　……でもねえ、Ｓちゃん。
　ひとつだけ聞きたいことがあるんだけどいいかな。
　ＣＰとか固定とか、あなたなんでそんなこと知ってるの。

　　　　　　　　　　　もしかしてこっちの世界の住人なの…？？？




＞青鳥を下さったＲ・Ｋさま
　あはは、大丈夫、ここはひとつ「あけましておめでとう」で参りましょう！（笑）
　お忙しかったご様子、もうひと段落つかれましたか？　（お疲れさまでした！）　こうやってお便りを頂いてお元気になさっているのを知るのは、いつでも本当に大きな喜びです。
　こちらこそ！　今年もどうぞよろしくお願い申し上げます♪

　

＞１/１３に通販をお申し込み下さった、京都のＭ・Ｙさま
　おお、お久しぶりでございます！　お元気でいらっしゃいますか？
　残念ながらメールアドレスが未記入だったため、ご案内をお送りすることができずにいます。
　この新しいメールフォームでは、アドレスをご記入頂かないと、お送り下さった方のところにお返事をお送りすることができないのですね。お手数ですが、再度ご連絡をいただけますでしょうか？
　よろしくお願いいたします！

　

＞美琴さま
　新年早々のネコ三兄弟！（喜）　ありがとうございます！　男の子三匹だとさぞ賑やかだろうなあ…とうっとりしています。（茶色の子、もしかして甘えん坊さんでは？）　わたしも新年は両親宅でネコ三昧をして参りました。久しぶりに会うので餌で釣ってみた！成功だった！（笑）
　今年もまたお会いできるのを楽しみにしておりますとも。もう全然ちびちゃんじゃなくなったちびちゃんにも、どうかよろしくお伝え下さいね。毎年成長したお姿を見るのを、本当に楽しみにしているのです。（昨年のイベントでお年を聞いたときには、歳月のあまりの早さに口から魂が抜け出そうになった…）

＞シロン葉の紅茶さま
　今年のお正月は、こちらでは本当に暖かいのんびりとしたお天気でした。（散歩が楽しかった！）　お住まいの地域でも穏やかなお正月日和だったでしょうか。
　折に触れて頂く温かいメッセージに改めて御礼を申し上げつつ、今年がシロン葉の紅茶さまにとってもすばらしいものとなりますよう、心からお祈りしております♪

＞杏さま
　あけましておめでとうございます！　ほんと、あっというまですよね。もう冬？もう１２月？と驚いているうちに年が明けてしまった…（笑）。
　母の言葉は随分昔に聞いたもので、そのときはわたしも何とも思わなかったのですが、次第に重みを持って心のどこかにいつもあるものとなってきました。こういうことでする後悔は、なかなか癒えないものですよね。
　「１３」という数字、何故か激しくときめきました（笑）。奇数というのはやっぱり独特のエロスを備えていて、ぐっときます。まずは目の前の新刊用の原稿、力を尽くして形にしますねー♪

　

　ちょっと出遅れですが、あけましておめでとうございます、愛するマドモアゼル方！
　新年の雑記を用意しつつ、「２０１７年」という字面に漂う何ともいえないＳＦ感に、心身が痺れる思いがいたします。７だな…多分この奇数が持つ不可解かつ不安定な魅力が、未来のそれに通じてるんだな…と妙な方向に納得しつつ、本日は新しい風景をトップに掲げて参りました。

　ロマネスク彫刻を見にあっちこっちほっつき歩く癖がある…というのは、すでにこちらの雑記でもばればれかと思うのですが、中でも特に好きなモチーフが２つありまして、そのひとつがこれ、「双尾の人魚」なのでございます。
　原型はおそらくセイレーン（ギリシャ神話にも登場する下半身が鳥の女怪）とされ、それが水と融和して魚となり、キリスト教時代に入って異教のシンボルとして聖堂を飾る存在となったこの人魚は、さらに遡っていくと原始の豊饒の女神に辿りつく…という複雑な多面性を持っています。
　なので、各地のロマネスク教会で見かける人魚の姿も、実に多様です。宝冠を頂いていたり、両手に握っているのは髪だったり（この場合は官能的な意味合いが強い）、思わず二度見するほど華麗なＭ字開脚を決めていたり（もうあからさまに誘惑のポーズ）、そういえばあれですね、有名な世界的コーヒーチェーンのロゴも冠つきの双尾のマーメイドだ！

　ひとつの意匠の中に、幾つもの暗喩が複雑に絡まりあって隠されている。こういうものにはもう、無条件で痺れずにはいられません。
　煩悩の虚海における皆さまの一年が、かくのごとく多様性に祝福され、豊饒と謎と官能に満ちたものとなりますよう、新年の初めに当たって心よりご祈念申し上げる次第でございます。


　……と、綺麗にフィニッシュを決めて御前を退出できればよかったのですが！　やっぱりどうしても！　どうしても新年早々吐露せずにはいられない命題があるのでごめんなすって……！！
　あの、カップリング表記という文化がありますよね。Ａ×Ｂとか、Ｂ×Ａとか。
　大晦日、除夜の鐘を聞きながら深々と考察していたのは、あれは常時固定しなくてはいけないものなのだろうか…というまさにそのことでした。
　たとえばです。Ａにしてみたって、時には大の字に寝転んで「好きにしてくれたまえ」と申し出たい夜もあるだろう。Ｂの方だって、「今日ばかりはリードを取らせて頂きたい」と主張したいときがあるかも知れない。心身のコンディション及びＴＰＯ、諸々の外的・内的条件によって万華鏡のように変わり得るのが関係性というものであるならば、過剰な固定主義は愛の可能性を狭めてしまうのではないか、融和どころか下克上をめぐる武力抗争を引き起こしてしまうのではないか。
　と、このように懸念されるのでございます。
　そうした心情を率直に言語化し、「世界の多様性を尊ぶ信条にのっとり、リバーシブルという概念に賛同したいと思う」と述べたところ、妹からフンコロガシを見るような視線を向けられました。
　心外の念、ここに極まれり。


【追記】
　本日から通販を再開いたしました。（５月発行の本は残部僅少となっております）
　ご希望の方がいらっしゃいましたら、お気軽にお申し込みメールをお送り下さいませ。例によって可及的速やかにお手元にお届けする予定でございます。（伏礼）