三連休最後の本日は、打って変わって聖人のように清らかな心で虚海を渡って参りました。
　まずは幾つかのお知らせを。

　１）　通販休止のお知らせ
　５月３日のイベント参加に伴い、通販は４月１７日（日）で休止となります。
　既刊の在庫につきましては、『百年譜』がおそらくイベントで完売、『Water Tales』がおそらく在庫少、になるかな…といった感じです。「その前にわたくしの分をおよこしなさい」と仰る女怪がいらっしゃいましたら、お気軽にお申し込み青鳥をお送り下さいませ。

　２）　イベントの後に宴をどうぞ！
　毎年イベントの後には、助っ人芥瑚の皆さま方とささやかな打ち上げの宴を張っているのですが、もしご興味がおありの方がいらっしゃいましたら、ここに参加なさいませんか？
　リアルの集いが懐かしく、また今年はサイト開設１２周年ということもあり、この機会に楽しい時間を頂ければ、こんなに嬉しいことはありません。
　「初めてだし…」「ひとりだし…」と迷っておいででしたら、その心配はまるでご無用でございます。情の厚さにかけては虚海一を誇る先達芥瑚の面々が、あなたを決して一人にはいたしません。何よりわたくしめもおりますから、どうぞご安心下さいませ。…って、それが一番心配か。
　お久しぶりの方々も、もちろん毎年参加の方々も是非！　「じゃあ、行ってみようかな…」と思われた方は、４月２４日（日）までに青鳥をお送り下さいませ。ご参加、心からお待ちしております。

　３）　大阪には夏の陣
　「復活したのは結構やねんけどな、あんさん大事なこと忘れてんとちゃうか？」とお思いの関西芥瑚の皆さま方。忘れてない！忘れてませんとも！（大慌て）
　東京でイベント参加をするからには、大阪にも詣でないと天罰が下ります。大阪には８月、インテックス大阪で開かれるＳＣＣに参加したいと考えております。もちろん別口の手土産つきで！
　こちらはまた諸事を整えてご報告に上がりたいと存じます。なので、何とぞお手元のハリセンは収めて頂いて、たいらかな心でお待ち頂けますと光栄至極に存じまする。（伏礼）


　そして今週末は、無事新刊が完成したことを寿ぐべく、名画師・日さまと打ち上げ旅行にしけこんで参ります！　今回はずずいと南下して、海の傍でおいしいものを食べながらのんびり過ごす予定なのでして、それにつけても素晴らしいドライビング・テクニックを備えた相方の存在とは、これほどまでにありがたいものであるか…！とレンタカーの手配をしながらしみじみ感じ入った次第でございます。（←実は車の免許を持ってない）

　それでは、愛するマドモアゼル方。
　今週末はちょっとだけ留守をいたしますが、その間に上記の諸々で御用がありましたら、どうぞご遠慮なく青鳥をお送り下さいませ。皆さまの一週間が良いスタートとなりますように！


　今週の反省：　
　打ち上げの宴にお誘いをかけるという重要ミッションを担っておきながら、どうして事前の雑記で３Ｐとか変態とか語っちゃうかな＞自分。

　

　ありがとうございます、ありがとうございます！　『万歳３Ｐ党』、新人党首の暁子でございます。「奇数は愛を豊かにする」をモットーに、虚海総選挙を戦い抜く所存でございます。
　 清き一票を青鳥に託してお送り下さったＨ・Ｋさま（イニシャル合ってるかな）。百万の援軍を得たかような心強いメッセージ、あなたさまこそ変態の神が 遣わされた天使とお見受けいたしました。そのお志に報いるべく、また新党の公約として、近日中にＳＭについて語りつくすことをお約束いたします！（←多分３日分くらいかかる）

　かなりの確率でばれちゃってるとは思うのですが、わたくしめ、もともとが変態畑の出身でございます。ならば何故、二次創作にその嗜好が反映されず、まともなものばかり書いちゃってるのか。（注：あくまで当社比）
　かつて修行に身を投じた末に感得したのは、「変態というジャンルはない。常軌を逸した情熱が変態を作るのである」という結論でした。（だから３ＰもＳＭも、実はちっとも変態じゃない）
　およそ性癖というものは、その人の抱える業やコンプレックスと一つの根っこで結びついています。なので、その性癖を変態と呼ばれるレベルまで突き詰めていくと、それは結局のところ、自分自身を追求する行為になってしまう。それがとても味気ないもののように思われたのです。
　自分探しなどタマネギの芯を探して皮を剥き続けるのに等しく、せっかく他者と関わる場面において、自分ばかりを追求して得られるものに価値はあるのか。いやー、あんま興味ないなー、だったら別方面から攻める方がいいなー、と片足だけ残して娑婆に戻ってきた次第でございます。
　上記の問いに対する答えも根っこは同じ。「知ってるものを書いてもつまらない」からなのですね。
　歪んだ方面から眺めると、まともな思考というのは驚異の対象です。以前、『自由、夜』というブツを書いたとき、色事の場面でよりにもよって一番縁遠いはずの「誠実」という言葉を持ち出す登場人物に、「こ、この人たち変だよママン…！」と心の底からびびったものですが、同時に二次創作と物語を書く魅力はここにあるのだと強く感じました。
　異なるもの、違うもの、自分にはないものに激しく惹かれるのが性分であるならば、その性分にこれほど適った行為はない。世界自体が異なる世界の中で、さまざまに異なる人々がくり広げる群像劇。それにここには変態が一人もいない…！眩しい…！！（←いや、これはどうでもいいな）
　

　……うむ。考えてみれば本日は、まったく別のことをお伝えに参上したのでした。
　なのでここはひとまず筆を置き、心身を徹底的に清めた後に改めて、何食わぬ顔で虚海を渡って参りたいと存じます。
　皆さま、しばしのおいとまを頂戴つかまつる。（三つ指ついてしずしず退場）


　本日の追記：
　先日印刷所に送り出し、「これでしばらくの間はゆっくりできるな…」と思っていたところ、光速を上回るスピードで完成した新刊が届きました。所要日数、正味５日間。
　１０日かかるって書いてあったのに！　書いてあったのに！！（←非常にうろたえている）

　

　 入稿を無事に済ませた週も明け、皆さまの煩悩もすこやかに木の芽どきを迎えておいででしょうか。先週日曜にはすでに準備が終わっていたにもかかわらず、日さまの描き下ろし挿画を手元で愛でていたいあまりに、木曜まで発送の踏ん切りがつかなかった阿呆より、心からのご挨拶を申し上げます。はー、堪能したけどもうちょっと眺め倒したかったよう！（←つける薬なし）

　さて、潔斎中にお届けした雑記の一部に目を留め、「さ、３Ｐってあなた…いったいどんなことを考えているっていうの…？」と囁くおののきに満ちた青鳥を頂きました。
　……ＯＫＯＫ、了解です。本日は３Ｐについて語らせて下さい。

　スリーサム。または３Ｐ。この無限の可能性に満ちた行為について思いを馳せるとき、その表現法について、ひとつの失敗例を憤怒とともに思い返さずにはいられません。（以下、ネタバレにご注意を）
　『天国の口、終りの楽園。』というメキシコ映画があります。秘密を抱えた妙齢の女性と若い男の子二人のロード・ムービーなのですが、そして現代メキシコ社会の抱える暗い部分を乾いた筆致で描いているという点ではまったくＯＫなのですが、この作品の終盤で、上記の三人が３Ｐに及ぶという場面が出てきます。これはよろしい。遠慮なくおやんなさい。
　が、一夜明けて顔を合わせた男の子二人、互いを見るなり物陰に駆け込んで嘔吐するのです。当方の怒りはここで炸裂しました。
　吐く…吐くだと？！　「おえー」ってなんだ！　殴るでもいい、罵り合うでもいい、他のどんなリアクションでもいい、しかし吐くというのだけはありえん！！
　失望すること山の如しなこの描き方。それは、稀有な機会に心身を投じながら性愛の神秘を何一つ体得できなかった二人が、今後も永遠に発情したサル以上のものにはなれないことの現れであり、ただでさえ都合のよい造型に寄りがちだった女性を決定的に安っぽいアイコンに貶めることであり、作品のすべてを台無しにする表現でもあり、もうがっかりだ！君たちには心底がっかりだよ！！
　と、通常ならば監督ごとまるっと切って捨てる場面なのですが、あにはからんや、この作品の監督アルフォンソ・キュアロンは、『トゥモロー・ワールド』や『ゼロ・グラビティ』という紛うことなき傑作を撮った御仁でもあるのでして、ぐぬぬ…と頭を抱えて煩悶した挙句、「この監督とは、そっち方面に関する事柄のみ意見が合わないのであろう」と結論付けることにしました。
　これ、かなり…というか、実は絶対的にクリティカルな意見の相違だという気もするのですが、同監督と個人的に親しくなる可能性はどう考えても皆無ですので、ここは不問に伏すこととしたしましょう。

　そして対照的に、「これだ…！」と思ったのが、以前にもお話した『風が強く吹いている』という傑作小説中の登場人物、ハナコちゃんです。
　双子のジョータとジョージ、いったいどちらが好きなんだと問い詰められた彼女は、「えー、どっちも好きだよ。二人ともかっこいいし」とあっさり答えるのです。そして、「性格とかそういうのはあんまり気にならない。生理的に嫌だと思う部分がなくて、顔が好みならそれでいい」とも。
　このくだりを読んだ瞬間、天啓ともいうべき光が脳内に差し込むのを感じました。
　これだ！　このフラットかつナチュラルな思考！　こういう思考の持ち主こそが、バリアフリーに３Ｐの世界へと入っていける逸材というものだ！！
　加えて彼女の「好き」というあり方は、遡って古代の日本に見られる大らかで直截な性愛、そのあり方にも通じるものがあると感じられます。 愛情の試金石にしたり、関係の継続を担保にしたり、「許す」とか「捧げる」とかのお題目を掲げたり、といった頭でっかちに走りがちな近代的思考に一石を投じる、まことに清々しく潔いあり方と申せましょう。
　一対の中に他者を招き入れる形の２＋１、一者が媒介となって二者を結びつける１＋２、三者が当分なベクトルを持つ１＋１＋１。この縦糸に、同性・異性の割合が０から３までという横糸を加えれば、バリエーションは文字通り無限の広がりを見せる。そこに展開される関係性も、星の数ほどありましょう。ここにこそ、３Ｐという開かれたトライアングルの持つ可能性、その豊饒へとつながる一端が垣間見える、そう力強く結論付けたいのでございます。

　……というようなことをですね、脳内で日々考えている次第なのでして、さらに敷衍するならば、世に変態と呼ばれるジャンル、その数例を挙げてつぶさに考察して参りたいところ なのではございますが、オープンスペースで語るには各方面に障りの生じる恐れもあり、ここはぐっと堪えて省略することといたしましょう。うむうむ。

　……あ。
　５月の新刊は、ライトながらも、絵・文章ともにＲ１３の指定つきでございます。
　（三つ指ついてしずしず退場）

　

　愛するマドモアゼル方。ここに謹んでご報告申し上げますに…

　　　　　　　　　新刊準備の精進潔斎、本日終了いたしました。


　梱包も終えて書類も完備、後は明日、印刷会社に送り出すだけでございます。
　ああ、楽しかった、ほんとに楽しかった、楽しすぎてもっとやってたかった…！！！
　と正直なところ、終わったのがほっとするより残念なくらいに恍惚の精進潔斎だったのですが、これで無事に新刊を携えてイベントに参上できると思えば、やっぱり嬉しいです（照）。
　なので、清々しく晴れやかな、そして若干の寂しさを含むこの心境を、美しい沖縄の海に託して表現してみました＠正面玄関の新しい風景。
　きっちり完成したブツが五体満足であることを確認した暁には、詳細と画像をすみやかにお届けいたしますので、もう少々お待ち下さいますように…。

　それにしましても、愛するマドモアゼル方。
　毎回喜びと嬉しさ全開で精進潔斎に励んでいる麒麟を見て、友人が首をかしげながら指摘したことがあります。
　「あのさ、新刊準備とか原稿を書くとかって、締め切りに追われたりネタに詰まったり、もっと苦しみながらやるイメージがあるんだけど、なんでそんなに阿呆みたく楽しそうなの？」

　ええ？！　そうなの？　いや、阿呆なのはその通りなんだけども、普通こうじゃないの？？
　しかし、そこは王道を外すことには定評のある我が身。麒麟は真剣に考えました。
　身近で同じような活動をしている知り合いがいないので、参考例が他にないのだけれども、書きたい！本を作りたい！という気持ちで原稿に向かっているのはどなたも同じはず。でもってそれが楽しいと感じるのも、おそらく同じはず。費やせる時間の多寡や発行ペースには個人差があっても、基本的には皆さまと同じ諸条件であるはずです。なのにそう見えないというのは…
　つまるところ、慎みの有無ということではないだろうか。

　思うに、こうなのでございます。
　新刊製作は楽しい。踊っちゃうくらい楽しい。おそらく作り手誰もが感じているだろうこの事実を、慎ましくひっそりと胸の内に隠しつつ、「いえ、そのような…」という謙譲の美徳とともに静かに本を完成させるか。あるいはしょっぱなからフレンチカンカンのごとく丸見えに、「少し隠してはいかがか」と苦情が来るくらいに全開でレビューするか。
　違いを生むのは表現の方法のみであり、きっと他の作り手の皆さまもひそかに、この愉楽、新刊製作にまつわるこの法悦を味わっておられるのであろう…そして思慮深くそれを隠しておいでなのだろう…と納得する春の夜なのでございました。


　でもやっぱり書き上がっちゃって寂しい！　もっと書いてたかった！！（←真性の阿呆）