Event Report 5&6

１０月はイベント月間。

◆ 小休止、そして衝撃の再会 ◆

　いつもなら、イベント終了後には解いて棚に収める荷物＆本も、今回はそのまま。なんとなれば、「２０日後には大阪のイベントに参加するから♪」なのでございます。
　思えば８月末の放浪の際、タクラマカン砂漠の端っこで、
　「辺境にはほいほい気軽に出かけるのに、イベント参加は東京のみっていうのも、考えてみれば偏った話だよなー。新刊もあることだし、同じ１０月に大阪でもイベントがあるようだったら、参加を検討してみようか…　うむ、そうしようではないか！」
　と思い立ったことが、そもそものきっかけだったのでございました。

　そして大阪行きを週末に控えた夜。
　今回は厳重な指さし確認とともに送り状を記した本の箱を、大阪に向けて送り出すべく、宅急便の集荷を依頼。約束の時間にやってきたお兄さんを 、まさに満を持して出迎えた瞬間、麒麟は玄関先でフリーズしました。
　忘れもしない、あなたは…　あなたさまは…

　前回と同じ方ではありませんか！

　あの夜、受話器を握り締め、延々と恥ずかしい説明をくり広げた記憶が怒涛のように蘇ります。思わず気を失いかけるのをぐっと踏みとどまり、
　「だ、大丈夫。昨日今日のことじゃないし、お客さんだって多いし、きっと覚えてないはずだ…！」
　と努めて無表情を装いつつ、お財布を取り上げたときでした。送り状にちらりと目を走らせたお兄さんが、ひとりごとのように呟いたのです。
　「…今回は大丈夫みたいですね」

　覚えていたなら最初にそう仰って下さい、ムッシューＷ。

◆ ちっちゃな前夜祭 ◆

　迎えに来てくれた友人とも無事に合流です。彼女とは数ヶ月ぶりの再会、そしてお連れのちっちゃなＴちゃんとＲ君は、２年半ぶりの再会でしょうか。覚えていてくれたことを喜びつつ、まずはみんなでお茶を一席。
　（注：　大阪では、お茶は「飲む」のではなく、「しばく」もしくは「どつく」のだそうです。…ぎゃふん）

　よもやま話の傍ら、友人から、「よかったら、このＴちゃんの携帯を貸してあげるから、今日と明日の連絡用にお使いなさい」とのありがたい申し出が。
　喜んでお受けしたところ、ちっちゃなＴちゃんが不思議そうな面持ちで一言。
　「暁子ちゃんは携帯持ってないの？　東京の人は携帯持ってないの？」

　…ううん。自ら選んで携帯を持たないっていう、現代社会における古代生物なだけなんだよ。

　と暴露したいところをぐっと堪え、
　「そうなんだよー。東京では携帯電話が禁止されてるんだ。大阪の人がうらやましいなー」
　とにっこり答えた麒麟に、
　「そうなんだ…。じゃあ、いいよ」
　と深い同情を湛えた目で、Ｔちゃんは可愛いキッズ仕様の携帯電話をさし出してくれたのでした。

　申し訳ないやら、可愛いやらで、もう…！！！
　

◇          ◇          ◇
 

　そうしてみんな揃ったところで、夕食には念願のお好み焼きを囲み（ものすごーくおいしかった！）、友人の車で夜のドライブを楽しみつつ、 会場のすぐ傍のホテルまで送ってもらいました。
　ミナミからベイエリアにかけての大阪の夜景は、 どこか混沌として人肌の温かさを帯び、映画『ブレード・ランナー』を彷彿とさせるような眺めだったことを、今でもよく覚えています。