かつて100Q-�Tの回答で、最も愛する小説として辻邦生の連作短編集を挙げたように、映画にしろ小説にしろ、「群像劇」というものに何より心を惹かれます。
　壮大な流れの中で数多くの人物が登場し、互いに出逢い、複雑な関係で結びつきながらひとつの物語を展開していく… という構成が、まるで言葉で組み立てた建築物のように思え、常に憧憬の対象でした。

　それまで考えもしなかった生まれて初めての二次創作に、自分を踏み切らせたのは何だったんだろう… と改めて振り返ったのは、先日のサイト開設一周年の折。形式としてはファンタジーである十二国記が、実は本質的にリアルな群像劇だからなのだと気づきました。
　今回投票を通して感じたことも、まさに同じです。いつもはモニターの向こうにいらっしゃるマドモアゼル方の存在が、お寄せ下さる票やコメント越しに、この上なくリアルなものとして胸に迫って参りました…。これこそが投票最大の収穫だったと申し上げても過言ではありません。
　十二国記という大きな物語を通して多くの方々にお逢いできたことは、二重の意味での僥倖だったのだと、日々深い感謝を覚える一ヶ月でした。

　悪い夢は人に話してしまえば吉夢になる、と申します。
　実を申しますと、今回１・２位を頂いた二つの作品は、「これを出す（あるいは書く）のは、サイト更新終了が近づいたときだな…」と考えていたものでした。
　ですがその二つを更新した後でも、書くことの喜びは色褪せず、サイト運営もいっそう楽しいものになっていきました。ＢＢＳに頂くお書き込みや水面下のメール、そして日々カウンターに刻まれる数字は、そっくりそのまま次の作品に進む原動力となっています。
　ですので今はもう余計なことは忘れて、できることを誠実に、そして楽しんで続けていこうと思えるようになりました。
　ありがとうございます、皆さま…。
　
　今回もうひとつ嬉しかったのは、投票所のコメントの一部がサロン化を遂げていたという事実（笑）。
　ＢＢＳ＠蓬莱の捨身木を通して結ばれた女怪同士、互いに呼びかけ合いつつお寄せ下さったコメント。その美しい相互コミュニケーションのお姿よ！　また期間中には、コメントに添えて下さったお名前や水面下のメールを通して、たくさんの初めましての方々とお逢いすることも叶いました。こうしたことすべてが、本当に大きな喜びで した。
　心底仰天した数の票、そのおひとつをお寄せ下さった貴女。そのまま頂いては身に過ぎるようなお言葉を添えて下さった貴女。お気が向かれましたらＢＢＳでも水面下でも、どうぞさっくりとお越し下さいましね。
　思っていらっしゃるよりずっとお気軽な一歩だと、貴女の麒麟がお約束申し上げます（笑）。

　おひとりおひとりにお礼を申し上げられないことだけが、本当に残念です。
　今、ご覧下さっているモニター越しに、こちら側からお送りする心からの感謝を、どうかお受け取り下さいますよう…。
　

サイト開設以来の変わらぬ感謝を込めて

天山慶路・暁子 拝

2005年2月21日